着実に増える再生可能エネルギーの導入量、7月に76万kWが運転開始:法制度・規制
固定価格買取制度の抜本的な見直しが求められる状況の中で、実際に運転を開始する発電設備は順調に増え続けている。2014年7月に運転を開始した発電設備の導入量は76万kWにのぼり、6月を10万kWも上回った。大半は太陽光だが、中小水力とバイオマスも合計3万kW増加した。
数カ月前までは、固定価格買取制度の認定を受けながら運転を開始していない発電設備の多さが問題視されていた。ここにきて逆に太陽光や風力による発電設備の増加が送配電に影響を及ぼしかねないことを政府や電力会社は懸念し始めたものの、その動きとは関係なく運転を開始する発電設備は増えていく。
2014年7月末の導入量は累計で1186万kWに達して、7月だけでも76万kWの発電設備が新たに運転を開始した(図1)。1カ月間で非住宅用の太陽光が66万kW増えたほか、住宅用の太陽光が8万kW、さらに中小水力が2万kW、バイオマスも1万kW増加した。太陽光が中心の導入状況に変わりはないものの、そのほかの再生可能エネルギーも着実に拡大を続けている。
2014年度に入ってからの導入量の増加傾向を見てみると、4月が82万kWで過去最大の伸びを記録した後、5月と6月も66万kWの増加で2013年度を上回るペースで増えた。7月の76万kWは過去3番目の増加量で、8月以降も運転を開始する発電設備が拡大を続けるのは確実な情勢だ。
一方で7月に認定を受けた発電設備の規模は42万kWの増加にとどまっている。6月の31万kW増に比べれば多少は回復したものの、前年7月の69万増を大きく下回った。認定を受けた42万kWのうち、太陽光が38万kWで、そのほかは風力が2万kW、バイオマスが3万kW増えている。
2013年度は月を追うごとに認定設備の増加ペースが伸びていったが、2014年度は9月下旬から九州をはじめ全国5地域で電力会社による接続保留の措置が始まったため、10月以降の認定量は減少する可能性が大きい。当面は運転を開始する発電設備の規模が新たに認定を受ける発電設備を上回る状況が続いていく。
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