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電力・熱・水素まで地産地消、大都市のエネルギーを分散型にエネルギー列島2014年版(27)大阪(2/2 ページ)

革新志向の強い大阪では、電力会社に依存しない分散型のエネルギー供給体制の構築が着々と進んでいる。電力や熱の地産地消を推進する大規模なスマートコミュニティを湾岸の埋立地に展開する計画だ。さらに関西国際空港を中心に水素エネルギーの製造・消費でも日本の先頭を走る。

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バイオマスでもバイナリー発電を実施

 大阪府内の先進的な取り組みは下水処理場でも見ることができる。兵庫県に近い北部の池田市が国土交通省の実証事業の1つとして実施する「下水汚泥エネルギー転換システム」である。最近では全国各地の下水処理場で汚泥を利用したバイオマス発電設備が広がり始めているが、池田市のプロジェクトは通常と違う発電方式を採用した。

 下水の汚泥を利用する発電設備では、汚泥を発酵させてガス化してから燃焼させる方法が一般的だ。これに対して池田市が導入したシステムは、脱水した汚泥を燃焼させて高温の熱を発生させながら、燃焼時の排煙を処理する工程で生まれる低温の熱を組み合わせる(図5)。地熱発電や海洋温度差発電などで使われているバイナリー発電と同じ方式である。


図5 「下水汚泥エネルギー転換システム」の設備構成(上)、発電までの処理の流れ(下、画像をクリックすると拡大)。出典:池田市、メタウォーター、国土交通省

 このシステムは2014年2月に完成して、池田市の下水処理場で実証運転中だ。発電に加えて汚泥処理に必要な電力も削減できるため、両方を合わせると年間に340万kWhの電力量に相当する導入効果がある。バイオマスを利用したエネルギーの地産地消プロジェクトの先進的な事例になる。

 大阪府は東京都と神奈川県に次いで総世帯数が全国で3番目に多く、電力の需要に対する自給率は全国で下から2番目の46位にとどまっている(図6)。再生可能エネルギーや水素を導入する最先端のプロジェクトが早く効果を発揮して府内の各地域に拡大することが期待される。


図6 固定価格買取制度の認定設備(2013年12月末時点)

*電子ブックレット「エネルギー列島2014年版 −関西編Part1−」をダウンロード

2016年版(27)大阪:「大都市で生かす下水のエネルギー、バイオガス発電から熱まで供給」

2015年版(27)大阪:「太陽光と廃棄物からエネルギーを地産地消、分散型の電力125万kWへ」

2013年版(27)大阪:「グリーンベイ構想で東京の先を走る、湾岸に広がるメガソーラー群」

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