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可搬型エネルギーの時代、電動工具の進化に潮目を見る和田憲一郎が語るエネルギーの近未来(5)(2/5 ページ)

リチウムイオン蓄電池の改善が、エネルギー問題解決の一助となっている。日常利用するスマートフォンやノートPC、さらには家庭用蓄電池や電気自動車へと活躍の場が広がっているからだ。このような変化は、さまざまな機器の使い方を変えていく。今回は普段あまり光が当たっていない「電動工具」と蓄電池の関係を調べた。蓄電池の導入にはどのような課題があるのか、蓄電池導入によって機器の用途がどのように変わってきたのか。主要企業2社に聞いた。

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18Vが中核となる

和田氏 さまざまな出力電圧の蓄電池がある。どのように使い分けているのか。

金澤氏 当社が利用してきた電池の歴史から言えば、ニッカド(ニッケルカドミウム蓄電池)からニッケル水素蓄電池、そして現在のリチウムイオン蓄電池へと進化してきた。ニッカド時代は12Vが主流で、18V品は大きく重かった。プロユーザーが使う充電式の主流電圧は、現在14.4V〜18Vだ(図2)。よりハイパワーが得られる36Vはまだ少ない。同じ36Vでも、18Vを2個直列で使用するタイプもある。こちらは多くのユーザーが所有している18Vの蓄電池がそのまま使えるので、今後有望だと考えている。なお、軽負荷作業中心の用途やホームユーザー、あるいは新興国では安価な7.2Vや10.8Vも多く使われている。


図2 マキタの充電式工具 18V対応品が多い。 出典:マキタ

和田氏 搭載するリチウムイオン蓄電池は内製品なのか。それとも外部からの調達品なのか。

金澤氏 「リチウムイオン電池パック」の内製・外注についての回答は差し控えたい。電池パックには、セルのみならず電池の制御系基板も含まれている(図3)。そのため、電動工具用としての性能や品質を「マキタ基準」として厳しく設定・管理している。


図3 「リチウムイオン電池パック」の構造 出典:マキタ

和田氏 電池パックに関して、使用上の保証はあるのか。

金澤氏 電池に限らず、マキタ製品全般についても一律何年保証という制度はとっていない。顧客の要望や問い合わせは、日本全国114カ所の営業所で対応しており、バッテリーチェッカーを用いて状態を確認できる体制を整えている。

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