浮体式の潮流発電の実証試験を開始、新潟・粟島の北方海域で:自然エネルギー
日本の未来の再生可能エネルギーとして期待がかかる海洋エネルギーの1つ、潮流発電の実証試験が新潟県の粟島沖で始まった。発電能力が最大で100Wの装置を浮体に搭載して、10月30日と31日の2日間にわたって試験を実施した。発電性能や防水性などを検証して今後の改良に生かす。
新潟県北部の日本海にある粟島(あわしま)の沖合で、10月30日と31日に潮流発電の実証試験が初めて行われた(図1)。潮流発電は1日に2回の頻度で発生する潮の満ち引きによる海水の流れで発電する方式で、今後の導入拡大が期待できる海洋再生可能エネルギーの1つである。
新潟県と県内の民間企業で構成する「新潟県海洋エネルギー研究会」が日本大学の理工学部と共同で実施した。実証試験に使った発電装置は3メートル四方のスチール製の浮体に水車発電機を搭載したものである(図2)。
水車発電機は長さが0.5メートルのアルミ製のブレード4枚を垂直に組み合わせた小型のプロトタイプである(図3)。低速の潮流でも発電が可能で、最大で100W(ワット)の発電能力がある。潮流は満ち引きによって流れが反転するため、水車も双方向に回転する。2日間の実証試験で発電機の性能のほか、装置の防水性や強度などを検証して、今後の改良につなげる。
実証試験には地元の粟島浦村と粟島浦漁業協同組合が協力した。粟島の内浦漁港で浮体式の潮流発電装置を漁船に固定して、曳航試験を実施してから実証フィールドの北方海域まで運んだ(図4)。島を挙げて潮流発電に取り組む体制ができている。
粟島は政府が開発を促進する海洋再生可能エネルギーの実証フィールドとして、全国6地域のうちの1つに選ばれている。潮流発電のほかにも波力発電と浮体式洋上風力発電を含めて3種類の海洋エネルギーの導入に取り組む計画だ。その中で最初に潮流発電の実証試験を開始した。
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