2014年で初めて10MW超の風力発電所、10基の風車で運転開始:自然エネルギー
発電能力が10MW以上の風力発電所は建設前に環境影響評価のプロセスを通じて国や自治体の承認を得る必要があり、運転開始までに5年以上を要するのが標準的になっている。和歌山県で2008年から計画を進めてきた20MWの風力発電所が2014年11月1日に運転を開始した。
コスモ石油グループのエコ・パワーが「広川・日高川ウィンドファーム」を完成させて11月1日から発電を開始した(図1)。和歌山県の中部を走る白馬山脈の尾根に、発電能力が2MW(メガワット)の大型風車10基を設置したもので、最大で20MWの電力を供給することができる。
この一帯は年間の平均風速が毎秒6メートルを超える風力発電に適した地域である。2008年に運転を開始した「白馬ウインドファーム」(30MW)をはじめ、発電能力が10MWを超える風力発電所が3カ所で稼働中だ。和歌山県内で10MW以上の風力発電所が稼働するのは2009年の「ユーラス有田川ウインドファーム」(13MW)以来5年ぶりである。
2012年から10MW以上の風力発電所の建設に環境影響評価の実施が義務づけられたことで、全国各地で風力発電所の開発計画が大幅に長引いている。広川・日高川ウィンドファームは2014年に全国で初めて10MW以上の規模で運転を開始した風力発電所である(図2)。
エコ・パワーは2008年に環境影響評価を開始して、6年間をかけて運転開始にこぎつけた。今後も福島県の会津若松市で2015年に16MW、三重県の度会郡(わたらいぐん)で2017年に28MWの風力発電所を稼働させる計画だ。
風力発電の標準的な設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は年間平均風速が毎秒5.5メートル程度の場合で20%になる。この設備利用率で計算すると、広川・日高川ウィンドファームの年間の発電量は3500万kWhになり、一般家庭で約1万世帯分の電力使用量に相当する。
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