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屋根散水で「危険物」を冷却、太陽光で制御する:省エネ機器(3/3 ページ)
三井住友建設は、東洋インキCSホールディングスの危険物貯蔵施設に屋根散水システムを導入。夏季に室温を10度以上も下げる効果を得た。空調機器を使わず、少ないエネルギーで室内の熱環境を改善した事例だ。
商用電源を使わずに制御する
屋根散水システムのもう1つの特徴は電気使用量が少ないことだ。「電力の削減量は算出中」(同社)としているものの、基本的には商用電源(系統電力)を使っていない。水道水を屋根上の散水ノズルから放出する際、ポンプなどは使っておらず、制御システムは太陽電池で動作するからだ。
図6にある制御システム*2)の消費電流は最大2mAと少ないため、内蔵太陽電池と蓄電池で動作可能だ。屋根の温度を下げることが目的であるため、日照の有無と気温を測定して散水するかどうかを制御している。降雨時は散水を停止する。制御エラーも検知する。散水指令を出したにもかかわらず散水が行われてない状況を検知して警報を出す機能だ。水の流れを遮断するために散水用電磁バルブを使っているため、間欠運転にも対応する。
*2) 図3では消火器の上部に制御システムが写っている。なお、制御システムのハードウェアは空調制御関連機器を製造するクリフから調達した。
今回の制御システムは大規模な屋根散水で必要となる順次散水システムにも適用できるという。順次散水システムとは、屋根面に散水ノズルを一定間隔に配置し、1列ごとに順に散水する手法。1回当たりの散水量が少なくなる他、システムを簡潔にとどめることができる。水の使用量が減り、設置コストが下がるということだ。
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