電力会社の接続保留は時期尚早だった、発電設備の認定容量が8月に急減:法制度・規制
固定価格買取制度の認定を受ける発電設備が急激に減って、2014年8月は過去最低の水準に落ち込んだ。特に非住宅用の太陽光発電は全国で2万kWしか増えていない。発電設備の増加に伴って9月から電力会社が接続保留に乗り出したが、それよりも前に事業者の導入意欲は縮小していた。
資源エネルギー庁が月次で集計する固定価格買取制度の導入状況によると、2014年8月に認定を受けた発電設備の容量は16万kWにとどまり、2012年7月の制度開始以降で最低を記録した。中でも非住宅用の太陽光発電がわずか2万kW(=20メガワット)にとどまり、風力よりも少なくなっている(図1)。
固定価格買取制度の認定容量は2014年度に入って月間30〜50万kWで低迷していたが、8月は一段と落ち込んだ。非住宅用の太陽光発電は7月の30万kWから2万kWへ一気に縮小している。買取制度の認定を受けても土地や設備を確保できずに廃止・取消処分になったケースが数多く発生したためとみられる。
しかも非住宅用の太陽光発電の買取価格が前年度の36円(税抜き)から32円(同)に減額されたことに加えて、メガソーラーの建設に適した広くて平坦な用地が限られてきた。当面は認定設備の増加を期待しにくい状況だ。
それにもかかわらず九州電力が9月下旬から発電設備の接続申込を保留する措置を実施したため、事業者は固定価格買取制度の認定を受けられない状態が続いている。北海道・東北・四国の3電力会社も10月から同様の対応を開始して、全国的に再生可能エネルギーを導入する機運が衰えてしまった。
8月の認定状況を見る限り、電力会社の接続保留は時期尚早だった可能性が大きい。例えば12月までの実績を見てから判断しても遅くなかったはずだ。これから年度末に向けて、申し込みが過去2年ほど増加することは想定しにくい。電力会社は早急に接続保留の条件を緩和すべきである。
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