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水素で冷える発電機、小型で安価な90万kW級:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
三菱電機は2014年12月、90万kW級の発電機に「水素間接冷却方式」を適用可能になったと発表した。付帯設備が多く、大型で導入コストがかさむ「水冷却方式」を置き換えることができるという。
そもそもどうやって冷却しているのか
同社のタービン発電機には、冷却が必要な部分が大きく3つある。発電機の回転軸とともに動く「回転子」、回転子のすぐ外側に配置された固定子コイル、その外側にある固定子コアだ。
水冷却方式では固定子コイルと、固定子コアを別々に冷却する(図3)。固定子コイルの内部に冷却水(純水)が流れる細い配管を通じ、循環させる。これを固定子冷却水系統と呼ぶ。固定子コアは水素ガスクーラーで冷却する。水素ガスは先ほどとは別の冷却水系統で冷やす。
水素間接冷却方式では、固定子冷却水系統は使わない(図4)。そのため、固定子コイルの内部には冷却水が通る配管はない。VP-Xシリーズの場合は0.45MPa(4.5気圧)に加圧した水素を固定子コイルの絶縁に沿って流すことで冷却している(回転子と固定子コイルの間には水素は流れない)。
VP-Xシリーズでは水冷却方式の固定子冷却水系統が負っていた冷却能力を、水素ガスクーラー側の能力を増強することで担う必要があった。「固定子コイルを覆う絶縁の熱伝導率を高めた他、冷却ガス通風路形状を改善したことで実現した」(三菱電機)。
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