住宅のエネルギー8割削減、太陽から「熱と電気」をもらう:スマートハウス(2/2 ページ)
LIXILは「屋根は資源」であり、屋根から得られるエネルギーで住宅内消費量の多くを賄うことができると考えている。2014年12月には既築戸建住宅の屋根に「高効率太陽熱光ハイブリッドパネル」を設置した実証研究の成果を発表した。冬季の2月に総消費エネルギーの約80%を賄うことができたという。
熱をうまく使うことが重要
パネルの仕様から分かるように単位面積当たりに得られる熱は電力の約3倍もある。パネルで得た熱をどのように使うのかが、住宅のエネルギー消費量削減の決め手になるだろう。
実証実験では、「集熱PV併用システム」として、住宅内の構成を図3のように決めた。実証実験で興味深いのは、戸建住宅にもともと備わっていた給湯機器やヒートポンプ床暖房と接続して成果を挙げたことだ。
新たに追加した主な機器は、16枚のパネル*4)との間で不凍液(熱媒体)が循環する500Lの蓄熱槽、熱交換器、混合三方弁、システム制御装置だ。
太陽熱の利用方法は2つ。床暖房と給湯だ。床暖房では熱媒体をそのまま利用する。今回の実証実験の特徴は給湯にある。
給湯では熱交換器を通じて水道水から得た温水と、ガス給湯器で得られる温水を混合三方弁で混合して利用できるようにした。パネルや蓄熱槽内の温度を測定し、どのように混合するのかをシステム制御装置が決める。このようにして、ガス給湯器の利用量をなるべく減らした。
*4) 高効率太陽熱光ハイブリッドパネル自体は2012年から研究のために使用しているものと同等であり、システム制御装置の改善が効率改善に効いている形だ。
今回の実証実験では東京大学生産技術研究所の岩船由美子准教授の協力を得て、環境省「エネルギー起源CO2排出削減技術評価・検証事業」の対象物件として、HEMSを用いた測定も続けている。一般的なHEMSの使い方とは異なり、温度の測定に重点を置いた。温度の測定点は30カ所以上。
今後は高効率太陽熱光ハイブリッドパネルシステムと、暖房やキッチン、浴室などの住宅設備をHEMSによって連携する手法を探っていく。
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