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買取制度の認定設備で福島が第1位、再生可能エネルギーの供給力437万kW自然エネルギー

固定価格買取制度が始まって2年余りで、全国各地に再生可能エネルギーの発電設備が一気に広がった。その中で認定を受けた設備の規模が最大になったのは福島県である。原子力で4基分に相当する電力を供給可能だ。風力は秋田県、水力は長野県、地熱とバイオマスは大分県が圧倒的に多い。

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 資源エネルギー庁が12月25日に発表した最新の集計データによると、全国で固定価格買取制度の認定を受けた発電設備は2014年9月末時点で7200万kWに達した。大型の原子力発電設備で72基分に相当する規模に拡大して、発電能力では早くも原子力を超えている。

 都道府県別では福島県が最大で、太陽光を中心に437万kWの発電設備が認定を受けた(図1)。震災からの復興に向けて、県を挙げて再生可能エネルギーの導入に取り組んできた結果だ。太陽光のほかにも風力からバイオマスまで5種類の再生可能エネルギーすべてで発電計画が始まっている。


図1 固定価格買取制度の認定設備の規模が大きい都道府県トップ10(2014年9月末時点。単位:kW。バイオマスは燃料の比率を反映)

 福島県に次いでわずかの差で鹿児島県が続き、第3位の茨城県までは発電能力が400万kWを超えた。さらにトップ10には九州から4県が入っている。九州電力が発電設備の急増に伴って事業者からの接続申込を保留した背景がうかがえる。このほか関東も3県と多く、それ以外は北海道と東北の2県である。

 固定価格買取制度の認定を受けた発電設備のうち、実際に運転を開始したのは1320万kW分で、まだ2割弱に過ぎない。残りの8割強が今後3年程度で運転を開始する見通しだ。すでに運転を開始した発電設備の規模で第1位になったのは福岡県である(図2)。太陽光で725MW(メガワット=1000kW)が運転を開始した。その3分の1はメガソーラー(発電能力1MW以上)が占めている。


図2 運転開始した発電設備の規模が大きい都道府県トップ10(2014年9月末時点。単位:kW。バイオマスは燃料の比率を反映)

 これまでのところ47都道府県すべてで太陽光の比率が最も大きい。それでも太陽光以外の再生可能エネルギーを大きく伸ばす地域が増えてきた。風力は北海道・青森・秋田で発電設備が拡大している(図3)。水力では岩手や長野の取り組みが活発だ。地熱では大分をはじめ九州が他の地域を圧倒している。


図3 種類別のトップ3(2014年9月末時点。単位:kW。バイオマスは燃料の比率を反映)

 注目すべきは、全国の認定設備の規模でバイオマスが風力を抜いたことである。バイオマスは地域によって使う燃料に特色がある。すでに運転を開始したバイオマス発電の規模が最大の大阪では廃棄物を利用する設備が多い。一方で認定設備の規模が最大の大分では間伐材などの木質バイオマスが中心だ。全国の再生可能エネルギーは太陽光に偏重していた状況から変わって、地域にある資源を幅広く活用する段階に入っていく。

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