「水素タウン」で先を走る、太陽光やバイオマスから水素も作る:エネルギー列島2014年版(40)福岡(2/2 ページ)
福岡県は固定価格買取制度による太陽光発電の導入量が全国で第1位になった。さらに10年以上前から推進してきた水素エネルギーの取り組みが新たなフェーズに入る。水素で発電する燃料電池と太陽光の組み合わせに加えて、バイオマスから水素を製造する実証プロジェクトも始まる。
燃料電池車の利用環境で日本をリード
福岡県では燃料電池車の導入準備も着々と進んでいる。トヨタ自動車が「MIRAI」を市販するのに先立って2014年10月に、九州で初めての商用水素ステーションが北九州市にオープンした。続いて12月にはパッケージ型の「スマート水素ステーション」が同じ市内にある「北九州市エコタウンセンター」に設置された(図4)。
このスマート水素ステーションは内部で水を電気分解して水素を製造できる点が特徴である。エコタウンセンターでは太陽光で発電した電力をスマート水素ステーションに供給することによって、水素の製造工程を含めてCO2を排出しない燃料電池車の利用環境を構築している。
福岡県は全国の中でも太陽光発電が活発な地域の1つである。固定価格買取制度で発電する設備の運転規模では第1位になった(図5)。さらに風力やバイオマスの導入量も増えて、再生可能エネルギーによる電力の供給力はますます拡大していく。
太陽光発電では西部ガスが北九州市の臨海地区に、20MW(メガワット)のメガソーラーを2014年10月に運転開始したところである(図6)。このメガソーラーに隣接してLNG(液化天然ガス)の基地が同時期に運用を開始したほか、天然ガスによる火力発電所の建設計画も進んでいる。
水素エネルギーと再生可能エネルギーに加えて、大量の水素と電力を作ることができるLNGの基地が整備されたことで、環境負荷の低いエネルギーの供給能力が格段に高まる。未来に向けたエネルギー社会の構築で福岡県が日本をリードしていく。
*電子ブックレット「エネルギー列島2014年版 −九州編 Part1−」をダウンロード
2016年版(40)福岡:「北九州の荒波の上で洋上風力発電、自動車工場には太陽光と水素」
2015年版(40)福岡:「水素エネルギーで日本をリード、太陽光発電も全国一の導入量」
2013年版(40)福岡:「九州の新しい発電拠点へ、2020年までに再生可能エネルギーを3倍以上」
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