フロン排出抑制法開始、空調機器管理者が気を付けるべきこと:法制度・規制(3/3 ページ)
フロン改修・破壊法が改正され、「フロン類の使用の合理化および管理の適正化に関する法律」が2015年4月1日からスタートした。今回の改正により、地球温暖化とオゾン層破壊の原因となるフロン類の排出抑制のため、業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器の管理者には機器およびフロン類の適切な管理が義務付けられた。また一定の量フロンが漏えいした場合にも報告が義務付けられている。
改正フロン法の対応ポイント
ここまでのことを踏まえて、判断の基準に対応するための事前準備をまとめると以下のポイントが必要になるのではないだろうか。
- 所有する機器をリスト化し定期点検の対象となる機器を整理し、点検・整備記録簿を整備すること
- 定期点検・簡易点検の実施スケジュールを計画的に検討すること
- 所有する機器の漏えい状況をあらかじめ確認すること
- 管理担当者をかめるなど管理体制を準備すること
なお、改正法では機器の適正な管理を求めているが機器の買い替えや冷媒の入れ替えを強制するものではない。
改正フロン法の罰則とは
今回の法改正では、一定量以上のフロンの漏えいがある場合には、管理者は算出されたその量を、事業を所管する大臣に報告することが必要となった。報告された内容は管理者の名称を含め全て公表される予定だ。国への報告が必要となる管理者は、法人または個人を報告単位として保有する機器からの漏えい量を算定して、漏えい量が1000トン(二酸化炭素換算)以上のものが報告対象者となる。
漏えい量とは、追加充填したフロンの総量を漏えい量と見なすため、管理者は充填回収業者が発行する充填・回収証明書から漏えい量を計算することになる。初回の算定漏えい量報告は16年7月末までに行うことになる。集計は自社で行う他、情報処理センターなどを活用することとなる。これについては事前に検討しておくと集計作業時に必要な情報が整理しやすくなる。
なお、フロン排出抑制法の義務に違反した者には罰則がある。「フロン類をみだりに放出した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金」「機器の使用・廃棄などに関する義務について都道府県知事の命令に違反した場合は50万円以下の罰金」「算定漏えい量の未報告・虚偽報告の場合は10万円以下の過料」となっている。漏えい管理者名の公表とともに覚えておくべきだろう。
関連記事
- 温泉発電の「落とし穴」、別府の事例
温泉の源泉に市販のバイナリー発電機を据え付けると、24時間安定した電力を取り出すことができる。井戸を掘る必要もなく、固定価格買取制度(FIT)の対象であり、理想的な再生可能エネルギーに見える。しかし、幾つかの落とし穴がある。大分県別府市内の事業を担当した西日本地熱発電の事例を紹介する。 - 業務用の空調選び、電気かガスか
個別空調には大きく2つの方式がある。電気空調とガス空調だ。空調を実現する基本的な仕組みは同じだが、それぞれ適した使用条件が異なる。 - 電気料金を引き下げる節電(第2回)−「空調」の傾向と対策
空調機器(エアコン)の電力使用量は季節や地域によって常に変化する。気候に合わせて設定温度や運転時間を制御することが大切だが、クリーニングを実施すると年間を通した節電対策として効果的だ。古い空調機器ほど電力を多く消費するので、使用年数によっては買い替えも検討したい。 - BEMSでガス空調と電気空調を使い分け、夏季に29%の省エネに成功
日本土地建物は自社保有ビルの1つである「日土地内幸町ビル」(東京都千代田区内幸町)に日立製作所のBEMSを導入し、空調機器を制御させた結果を明らかにした。ガス空調と電気空調を使い分けることで2010年度と比べて空調機器が消費したエネルギー量をおよそ29%削減できた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.