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2020年に1550億円まで成長、拡大する国内バイオマス電力市場:自然エネルギー(2/2 ページ)
市場調査会社の富士経済がバイオマス利活用市場の調査結果を発表した。2012年7月に固定買取価格制度が開始されて以降、バイオマス発電プラントの市場規模は急速に拡大した。バイオマス由来電力の市場は2020年に1550億円にまで成長する見通しだ。
バイオマス燃料市場は2020年に確立
バイオマス由来電力については、FIT開始により買取価格が上昇したため、RPS(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)からFITへの移行が進み、 2013年度には市場が大きく拡大した。2014年度の市場規模は808億円となる見込みだ。今後は多数の発電プラントの稼働により供給量は急増すると見られ、2020年度には1550億円にまで拡大すると予測された。
バイオマス由来製品の国内市場については、バイオマスプラスチックが普及期に突入しているものの、FIT開始以降に建設された発電プラントが稼働し始めバイオマス由来電力の供給量増加が予想されるため、今後も市場は拡大するとみられている。2014年度の市場規模は1789億円となる見込みだが、2020年度にはこれが3567億円にまで拡大するという予測だ。
バイオマス燃料については、バイオエタノールに利用目標量が設定されていることから市場は拡大傾向にあるが、その他のバイオディーゼル、木質ペレット、バイオマス固形燃料などはまだ限定的な利用にとどまっている状況だ。現在、実績がない藻類を利用したバイオ燃料や、セルロースナノファイバーなどの開発が進むことで、2020年度には市場が確立するとみられている。
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