山が消えて2つの巨大メガソーラーに、東京湾岸で2万4000世帯分の電力:自然エネルギー
東京湾に面した千葉県の富津市に、大量の砂利を採取した山の跡地がある。200万平方メートルにも及ぶ跡地の約半分を利用して、2つのメガソーラーを建設するプロジェクトが進行中だ。発電能力は合計82MWに達する。すでに1つは運転を開始して、残る1つに米国のGEグループが出資した。
メガソーラーの建設場所は富津市(ふっつし)の「浅間山(せんげんやま)砂利採取跡地」である。以前は標高が200メートルほどの山だったが、良質の砂利を採取できるために東京湾の埋め立て工事などに利用されて跡地が残った。千葉県と富津市はメガソーラーの誘致に乗り出し、2013年2月に2社の事業者を選んで建設プロジェクトが始まった(図1)。
2つのメガソーラーのうち1つは、グリーンパワーインベストメントによる「グリーンパワー富津太陽光発電所」である。プロジェクト開始から2年を経過した2015年2月に建設工事を開始した。跡地の中で北側にある52万平方メートルの敷地に、発電能力が42.2MW(メガワット)のメガソーラーを建設中だ(図2)。2016年1月に運転を開始する予定で、その時点で関東最大のメガソーラーになる。
この事業には米国GE(ゼネラルエレクトリック)グループのGEエナジー・ファイナンシャル・サービスが共同出資者に加わったことを現地時間の4月21日に発表した。GEエナジー社は岡山県に建設中の日本最大のメガソーラーに出資するほか、宮崎県でも九州最大のメガソーラーに出資している。
砂利採取跡地のもう1つのメガソーラーは「富津ソーラー発電所」で、すでに2014年7月に運転を開始した(図3)。南側にある44万平方メートルの敷地を使って、40.4MWの発電能力を発揮する。レノバやミツウロコグリーンエネルギーなどが共同出資で運営している。
2つのメガソーラーを合わせると、年間の発電量は8600万kWh(キロワット時)に達する見込みだ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して2万4000世帯分に相当する。富津市の総世帯数(1万9600世帯)を上回る規模の電力を供給することができる。山を再生できない代わりに、電力を再生可能にした。千葉県と富津市には年間に約1億円の税収入がもたらされる予定だ。
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