テスラが蓄電池市場に参入、家庭用では7kWhで約36万円を実現:蓄電・発電機器(3/3 ページ)
EV(電気自動車)ベンチャーである米Tesla Motors(テスラモーターズ、以下テスラ)は2015年4月30日(現地時間)、家庭用や法人用の蓄電池市場に参入することを発表した。新たに「Tesla Energy(テスラエナジー)」を立ち上げ、蓄電池の販売を開始する。
EVベンチャーから総合エネルギー企業へ転身
テスラが蓄電池市場に参入するポイントの1つとして、パナソニックなどと共同出資で建設し、2020年からフル稼働を行う予定の巨大蓄電池工場「Gigafactory(ギガファクトリー)」の存在がある(関連記事)。フル稼働に入る2020年の年間生産規模は、2013年における世界全体のリチウムイオン電池セルの生産規模を上回る35GWhを計画しており、圧倒的なコスト競争力を発揮できる。一方、EV用途だけに絞った場合、これらのリチウムイオン電池セルを販売し切れない可能性もある。今回の蓄電池参入はリスクヘッジの意味も含まれている(図6)。
一方で、テスラには、これまで自動車に絞り込んできた事業範囲をエネルギー産業全体へ広げようという狙いもあるようだ。
テスラ CEOのイーロン・マスク(Elon Musk)氏は、テスラや、ロケットを製造開発するSpaceXなどの他、太陽光発電会社SolarCity(ソーラーシティ)を2006年に起業しており、現在も同社の会長を務めている。ソーラーシティではテスラの発表と同日にテスラの蓄電池を採用することを発表(ニュースリリース)している。
発表会見で、マスク氏は「テスラは自動車メーカーではなく、エネルギー革新企業である」と強調。EVや今回の蓄電池に加え、クリーンなエネルギー環境の実現に向け、幅広いソリューションを展開していくことを示唆していた。
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