蓄電池の容量を空けて太陽光を待つ、電力会社の出力制御にも対応できる住宅:スマートハウス
住宅用を含めて太陽光発電の出力を電力会社が制御できるようにルールが変わった。発電した電力が昼間に余っても電力会社に供給できない事態が想定される。積水ハウスは太陽光発電と蓄電池を連携するシステムをスマートハウスに採用して、余剰電力を自動的に充電できるようにした。
積水ハウスが5月14日に発売した戸建て住宅「グリーンファースト 蓄電スタイル」には、太陽光発電と蓄電池の両方を制御できるパワーコンディショナー(パワコン)を組み込む。平常時は家庭内で余った電力を売電する一方、電力会社から出力制御の通知を受けると自動的にモードを切り替えて充電する仕組みだ(図1)。
電力会社は地域ごとに供給力が需要を上回る状況を予想した場合には、太陽光や風力などの発電設備の出力を制御することができる。2015年1月から適用ルールが変わって、住宅用の太陽光発電も出力制御の対象に入った(図2)。特に北海道・東北・九州の3地域では無制限に出力制御を実施できるため、対象になる発電設備では対策が必要になる。
積水ハウスの「グリーンファースト 蓄電スタイル」では3種類のモードで電力を供給できるようにした(図3)。
出力制御が実施される場合には、前日に電力会社からネットワーク経由で受けた通知をもとに自動的にモードが切り替わる。平常時は夜間の安い電力を蓄電池に充電する状態になっているが、出力制御に対応するモードでは充電しないで容量を空けておく。これで翌日の昼間に出力制御が実施されても、発電した電力を最大限に蓄電池に貯めることができる。
出力制御時に充電できる太陽光発電の電力は1.5〜3kW(キロワット)である。充電した電力を夜間に供給すれば、電気料金がかからないで済み、発電した電力を無駄なく利用できる。
このほかに停電が発生した場合には、電力会社のネットワークからシステムを切り離して自立運転のモードに移行する。出力制御の時と同様に、昼間の余剰電力を蓄電池に貯めて夜間に利用することが可能だ。
さらに燃料電池のエネファームを組み合わせて、3種類の電池で発電能力と給湯能力を高めたシステム構成もある(図4)。中核になる太陽光・蓄電池一体型のパワコンとリチウム蓄電池にはパナソニックとシャープの製品を採用した。蓄電池の容量によって4通りの構成から選ぶことができる。
関連記事
- 太陽光の電力を売電しながら充電、出力制御に対応できる蓄電池
固定価格買取制度の運用ルールが変更になり、地域によっては住宅用の太陽光発電に対しても電力会社から出力制御を求められるようになった。シャープは出力制御に対応できる蓄電池システムの新製品を5月に発売する。太陽光で発電した電力を売電しながら一部を充電することができる。 - パワコン要らず、太陽光で充電できる5.6kWhの家庭用蓄電池
パナソニックは2015年3月から、家庭用の大容量蓄電池「【住宅用】創蓄連携システム 蓄電容量:5.6kWh」他2製品の受注を開始する。パワーコンディショナーを使わずにパナソニックの太陽電池モジュールと直結して、蓄電できることが特徴。価格は167万円(税別)。 - 蓄電池の導入に最高5億円の補助金、太陽光と風力の出力制御に備える
再生可能エネルギーによる発電設備の出力制御に備えて、発電事業者を対象に蓄電池の導入を支援する補助金制度が始まった。太陽光と風力の発電設備に限り、中小企業や自治体などは導入費用の2分の1まで、大企業には3分の1まで補助金を交付する。1件あたりの上限は5億円と高額だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.