「狭い屋根でたくさん発電」が好調、パナソニックが太陽電池を増産へ:太陽光(2/2 ページ)
パナソニックは2015年5月18日、太陽電池事業についての説明会を開催。以前から推進する「国内・屋根置き・創畜連携」などを重視する方針の下、国内市場での販売が好調を続けており、新たに島根県および滋賀県で生産する太陽電池モジュールを増産することを発表した。
島根、滋賀の国内工場の製造設備を増強
今後さらに国内住宅用需要が拡大すると見られる中、HIT太陽電池の生産能力不足が予測。これらに対応するため、今回同社では、太陽電池セルを生産する島根工場(島根三洋電機)およびモジュールを生産する滋賀工場で、新たな生産ラインを構築する設備投資を行い、生産能力を増強することを決めた。投資総額は約95億円で新ラインは2016年3月に稼働予定。投資による増産規模は年産150MWとなる。これにより、パナソニックのHIT太陽電池の生産能力は1GW(ギガワット)を越えることになるという(図3)。
現状では、900MWにおける生産能力の内、約300MW分をマレーシアで生産し残りの600MW分を国内で生産する体制としていたが、新生産ラインの稼働後は国内で約750MWの生産能力を持つことになる。同社の太陽電池の販売は現在「海外が1割で9割が国内」(吉田氏)という状況で、今回の生産増強による増産分の仕向け地もほぼ国内向けとなっている(図4)。
ただ、今後に向けては「本来マレーシア工場はグローバル向けの製品を生産する工場として建設した。現在は日本向けに輸入するケースも多いが、国内の生産能力増強により、本来の役割に戻すことができる。現在、海外に対しては、北米、欧州、アジアについてはマーケティング戦略を構築しているところだ。生産能力増強と合わせて海外事業の強化にも徐々に取り組んでいきたい」と吉田氏は話している。
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