スペインの会社が日本のゴルフ場をメガソーラーに、茨城に続いて岩手でも:自然エネルギー
スペインを拠点に全世界で自動車部品を製造・販売するゲスタンプグループが環境保全の一環で進めるメガソーラー事業を日本でも拡大する。茨城県と岩手県にあるゴルフ場の跡地を利用して発電能力が20MWを超えるメガソーラーを建設中だ。2カ所を合わせて1万8000世帯分の電力を供給する。
ゲスタンプ(Gestamp)グループで太陽光発電事業を担当するGestamp Solarは世界9カ国で750MW(メガワット)にのぼるメガソーラーの開発を手がけている。日本では茨城県の大子町(だいごまち)で2014年9月に最初のメガソーラーの建設を開始したのに続いて、2015年3月には岩手県の洋野町(ひろのちょう)でも建設工事に着手した。いずれもゴルフ場の跡地を利用して発電能力は20MWを超える。
洋野町の南部で建設中の「洋野太陽光発電所」は40万平方メートルの用地に、最大出力25MW(送電出力20MW)の規模で展開する。洋野町は太平洋沿岸に位置していて、震災からの復興に向けて再生可能エネルギーの導入を推進している。洋野太陽光発電所は町内で最大級の発電プロジェクトである(図1)。
運転開始は2016年5月を予定している。ゲスタンプグループが発電事業のために日本に設立した「GASJA1」が運営する。設計・建設はドイツに本拠を置く再生可能エネルギー事業の専門会社juwi(ユーイ)グループの「juwi自然電力」が担当して、ヨーロッパ系の有力企業が手を組んで日本のメガソーラー事業を推進していく体制だ。
すでに建設が進んでいる大子町の「袋田太陽光発電所」は同様に40万平方メートルの用地を利用して、最大出力31MW(送電出力26MW)で2015年の半ばに運転を開始する(図2)。年間の発電量は3700万kWh(キロワット時)を見込んでいて、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1万世帯分を超える。一方の洋野町でも8000世帯分を上回る電力を供給できる見通しだ。
それぞれ固定価格買取制度を通じて東京電力と東北電力に売電する。ゲスタンプグループは2カ所のメガソーラーを建設するにあたって、ドイツ銀行の東京支店から総額195億円の融資を受けた。この融資は発電事業者のGASJA1だけが返済義務を負うノンリコース型のプロジェクトファイナンスで実施する。
日本ではゴルフ場の跡地にメガソーラーを建設するプロジェクトが相次いでいる。土地の面積が広いうえに造成する手間がさほどかからないことから、建設費を安く抑えられるメリットがある。特に外資系の発電事業者が積極的に開発を進めていて、岡山県や宮崎県では米国のGE(ゼネラルエレクトリック)グループが中心になって3カ所で大規模なメガソーラーを建設中だ(図3)。
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