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太陽電池の伸びが鈍化、2014年度の国内出荷量は8%増:蓄電・発電機器
2012年度から倍増の勢いで伸びてきた太陽電池の国内出荷量だが、2014年度はわずか8%の成長率にとどまった。特に住宅用は前年度までの増加から17%の減少に転じた。新築住宅が減ったことに加えて、太陽光発電の買取価格の低下や出力制御の範囲拡大など政策面の影響が早くも表れている。
太陽光発電協会がまとめた2014年度の太陽電池モジュール(太陽光パネル)の出荷統計によると、2014年度の総出荷量は987万kW(キロワット)で、前年度から14%の増加だった(図1)。用途別では住宅用が17%の減少に落ち込む一方、国内出荷量の8割近くを占める非住宅用が17%伸びて市場の成長を支えた。
太陽電池モジュールの国内出荷量は年度の後半、特に第4四半期に伸びる傾向があるが、2014年度は住宅用が下期に入って低迷した。非住宅用も第4四半期は前年度と比べて5%の伸びにとどまっている。2013年度の国内出荷量は前年度の2.2倍に拡大していることから、早くも市場に減速感が出てきた(図2)。
2012年7月に始まった固定価格買取制度の効果で、太陽電池モジュールの出荷量は2012年度から急増した(図3)。2013年度も倍増ペースで伸びたものの、2014年度に入って伸びが鈍化してしまった。太陽光発電の買取価格が年々下がってきたうえに、10月から北海道・東北・四国・九州の4地域の電力会社が発電設備の接続を保留する措置をとった影響が出ている。
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