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太陽光発電で全国1位に躍進、被災地に新たなエネルギーの芽生えエネルギー列島2015年版(7)福島(1/3 ページ)

震災からの復興を推進する福島県で太陽光発電が急速に拡大している。沿岸部から山間部まで広大な土地にメガソーラーが続々と誕生して、災害に強い分散型の電力供給体制の整備が進んできた。農業と太陽光発電を両立させるソーラーシェアリングの取り組みも広がり始める。

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 4年前に発生した原子力発電所の事故によるマイナスのイメージを解消すべく、福島県では電力の自給率を2040年までに再生可能エネルギー100%で実現する計画を進めている。洋上を含めて風力から地熱・バイオマスまで、地域の資源をフルに活用してエネルギーの供給力を高めていく(図1)。


図1 福島県の再生可能エネルギー導入目標と主要プロジェクト(画像をクリックすると拡大)。出典:福島県商工労働部

 その中で最も期待が大きいのは太陽光だ。県の面積が北海道と岩手県に次いで全国で3番目に広く、太平洋側を中心に日射量にも恵まれている。自給率100%を目指して策定した中期の実行計画「再生可能エネルギー先駆けの地アクションプラン」では、2012〜2015年度の4年間に太陽光発電の規模を2倍以上に拡大する目標を立てた(図2)。すでに現時点で達成が確実な状況になっている。


図2 「再生可能エネルギー先駆けの地アクションプラン」による導入見込量。出典:福島県企画調整部

 震災後に県内の各地で着工したメガソーラーが続々と動き出している。中でも復興に向けた象徴的なプロジェクトが福島空港のメガソーラー導入計画だ。空港の敷地内に分散して4カ所に、合計1.2MW(メガワット)の太陽光発電設備を設置して2014年4月に運転を開始した(図3)。


図3 「福島空港メガソーラー」の全体構成(画像をクリックすると拡大)。出典:福島県企画調整部

 このメガソーラーには福島県の太陽光発電の先駆けになる役割が与えられている。設置した太陽光パネルは10カ国のメーカーによる30種類を混在させた。それぞれのパネルの発電量や劣化の状況を比較しながら評価を続けていく予定だ。30種類の中には太陽光の向きに合わせてパネル面が動く追尾型の発電システムも含まれている。

 建設費は4億円で、そのうち4分の1を県民参加型のファンドで調達した。ファンドの募集を開始して1カ月足らずで上限の1億円が集まり、再生可能エネルギーに対する福島県民の期待の大きさを表している。

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