ニュース
雪国の平地に9万5000枚の太陽光パネル、角度30度で雪を落として発電:自然エネルギー(2/2 ページ)
新潟県の企業局が広大な工業団地の中で建設を進めてきたメガソーラーが7月1日に全面運転を開始した。総額76億円を投じて年間に6200世帯分の電力を供給する。太陽光パネルに雪が積もらないように30度に傾けて設置したほか、一部は夏と冬で角度を変えて発電量を比較することが可能だ。
設備利用率は全国標準を上回る15%超
阿賀野市は新潟県の内陸部にあって、冬には雪が大量に降る。積雪対策として3号系列の太陽光パネルは南向きの30度に傾けて設置した(図3)。架台の高さも1.8メートルと高くして、パネルから落ちた雪に埋もれない設計になっている。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は15.4%を見込んでいて、国内の標準値(13%)を大きく上回る。
先行して2012年7月から運転を開始した「2号系列」も同様の設置方法で、実際の発電量は予想をはるかに超えた。初年度の設備利用率は16.2%に達している。冬の発電量も積雪対策が効果を発揮して想定を上回ることができた。2号系列・3号系列ともに太陽電池には発電効率の高い単結晶シリコンタイプを採用している。
一方で2011年11月に最初に稼働した「1号系列」は価格の安い多結晶シリコンタイプの太陽電池を利用した構成で、パネルの設置方法も違う(図4)。架台の高さは同じ1.8メートルだが、角度を変えられるようにした。夏には20度に抑えて太陽光を多く取り込み、冬には40度に傾けて積雪を防ぐためだ。この方法で初年度の設備利用率は標準並みの13.0%を記録した。
関連記事
- 雪に負けず増え続けるメガソーラー、日本海の風力や波力も有望
国内有数の豪雪地帯を抱える新潟県内でメガソーラーの建設計画が相次いでいる。雪が降っても標準以上の発電量を得られる設置方法が明確になったことで、自治体と民間企業が積極的に開発に乗り出した。日本海の厳しい自然がもたらす風力や波力も将来のエネルギー源として期待が高まる。 - 地域還元型のメガソーラー、秋田県の豪雪地帯で発電開始
沿岸部を中心に風力発電が盛んな秋田県だが、雪の多い山間部でメガソーラーが運転を開始した。20年間も使われていなかった食肉センターの跡地を利用して、降雪にも耐えられる設計を施した。地元と連携して除雪作業を実施するほか、売電収入の一部を地域に還元することも計画中だ。 - 日本最北のメガソーラー、雪に反射した太陽光で両面発電に挑む
北海道の稚内市で積雪や寒さに負けない再生可能エネルギーの実証試験が始まる。運転中のメガソーラーに両面発電が可能な太陽光パネルを設置して、雪の反射を利用した発電に取り組む。さらに蓄電池や融雪マットを組み合わせて寒冷地ならではの再生可能エネルギーの活用方法を検証する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.