洋上風力発電設備の曳航が始まる、8隻の船で沖合23キロメートルへ:自然エネルギー
海に浮かぶ超大型の洋上風力発電設備が本日7月11日に、福島県の小名浜港から沖合23キロメートルの設置海域へ移動する予定だ。合計8隻の態勢で曳航した後、2週間かけて発電設備の係留作業を実施する。続いて海底送電ケーブルの敷設・埋設を9月中に完了して、いよいよ試運転に入る。
福島沖で取り組む洋上風力発電の実証プロジェクトが第2期の運転開始に向けて動き出す。海面に浮かべる浮体式の発電設備では世界で最大級の「ふくしま新風」が7月11日(土)に小名浜港を出航して、実証海域まで約70キロメートルの距離を速さ3ノット(毎秒1.5メートル)のゆっくりしたスピードで進んでいく(図1)。
ふくしま新風は発電能力が7MW(メガワット)の超大型風車を備えている。すでに第1期で運転を開始した「ふくしま未来」(2MW)の3.5倍の電力を作り出すことができる。発電機を内蔵した中心部分のローターは海面から105メートルの高さで、風車の最高到達点は200メートル近くまで達する(図2)。
これだけ巨大な設備を小名浜港から実証海域まで洋上を移動するために、合計8隻の態勢を組む。海面に浮かぶ浮体部分を起重機船の大型クレーンで支えながら、5隻の曳船と2隻の警戒船で曳航する方式だ(図3)。
風力発電船の前方を3隻の主曳船で引っ張り、後方から2隻の補助曳船でバランスを維持していく(図4)。船団の全長は最大で1000メートルにもなる。さらに前後を警戒船が走って、周辺の船舶に注意を喚起しながら情報提供や誘導にあたる。
実証海域まで曳航した後は、浮体部分から海底まで係留チェーンを設置する作業に入る。現在の計画では7月26日に係留作業を完了して、8月5日から海底ケーブルの敷設・埋設作業を開始する。第1期で建設した変電設備の「ふくしま絆」まで約2キロメートルの距離を海底ケーブルでつなぐ(図5)。
海底ケーブルの敷設・埋設作業は9月20日に完了する予定だ。その後に発電設備が試運転に入って、順調に進めば12月中旬から実証運転を開始する。福島県の沖合で超大型の風車が回転しながら、海底ケーブルを通じて陸上まで電力を供給できるようになる。
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