バイオジェットフライトを2020年東京五輪で実現、解決すべき3つの課題:自然エネルギー(3/3 ページ)
2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会でのバイオジェット燃料での航空機のフライト実現を目指し、経済産業省は「導入までの道筋検討委員会」を設置。このほど、実現に向けた活動を開始した。
バイオジェット燃料サプライチェーン
バイオジェット燃料で航空会社がフライトを運行するためには、燃料のサプライチェーンが確立できていなければならない。しかし、この領域もまだ手つかずの状況であるといえる。バイオジェット燃料を航空機で使用するためには、ジェット燃料混合施設が必要で、さらにこれらを専用タンクもしくは共同貯油施設(ハイドラント)へ貯蔵し、航空機へ補給できるようにしなければならない。
しかし、国際的な供給ルールがまだ確立されていない他、混合設備やタンクのスペースの確保に加え、設備の建設などがこれから行われるという状況だ。石油精製元売事業者や航空会社との協力が必須となってくる(図8)。
実務的に決めなければならないこと
これらの、バイオ燃料に関係すること以外にも残り5年で決定しなければならない点は多く同プロジェクトが描くロードマップを実現するのは決して容易なものではない。例えば、航空機の便数をどう決定するのか、利用空港はどうするのか、混合率の設定をどうするのか、CO2削減量の計算方法、など多くの課題を抱えている。これらについても関係者間での整合性を作り上げ、実現へのロードマップを作り上げていかなければならない(図9)。
「導入までの道筋検討委員会」の活動
2015年7月7日に第1回会合を開いた「導入までの道筋検討委員会」は、これらの課題解決に向け、毎年度2回ずつの進捗確認とともに、活動を進めていく。具体的には国土交通省や経済産業省が事務局となる全体会合の他に、サプライチェーンの問題解決を目指す「サプライチェーンWG(ワーキンググループ)」と、燃料の製造についての課題解決を目指す「燃料製造WG」での活動を進める。
サプライチェーンWGは事務局を石油連盟、定期航空協会が務め、航空運送事業者や空港内給油事業者、石油元売事業者などが参加する。燃料製造WGはNEDOが事務局を務め、バイオジェット燃料開発事業者、石油連盟、航空運送事業者、関連研究機関などが参加する(図10)。
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