東京と中部で需給率93%突破へ、電力の需要が増える14時台:電力供給サービス
太平洋側を中心に猛暑が続き、7月14日(火)は東京電力と中部電力の管内で今夏最大の需要を記録する見通しだ。需給率は14時台に93%まで上昇する予報が出ている。両地域ともに供給力には余裕があるが、8月に向けて電力の需要は増えていく。無理のない範囲で昼間の節電対策を実施したい。
東京電力の管内では朝から電力の需要が増加して、9時台には4000万kW(キロワット)を超えた。さらに気温が高くなる14時台には4640万kWまで上昇して、需給率は93.7%に達する予想だ(図1)。
電力の安定供給には予備率(需要に対する供給力の余剰率)を3%以上に維持する必要がある。現在のところ最低でも6%を超えることから停電の心配はない。ほかの地域では中部電力の管内でも14時台に需給率が93.3%まで上昇する見込みだ。
今週に入ってから太平洋側を中心に猛烈な暑さが訪れて、東京電力の管内では13日(月)に需要が一気に増加した(図2)。季節外れの寒さに見舞われた4月8日(水)以来3カ月ぶりに4000万kWを超えて、16時台に4341万kWを記録している。需給率は93.0%まで高まり、これも4月8日の95.8%に次ぐ今年で2番目の水準になった。
夏の暑さが始まって、全国の電力需要は今後さらに増えていく。政府の委員会が4月の時点でまとめた見通しによると、東京では7月の最大需要が5090万kWまで増加するものの、供給力には十分な余裕がある(図3)。厳しいのは関西電力と九州電力の管内だ。いずれも他の地域から融通を受けて、予備率を3%以上に維持しなくてはならない状況になっている。
関西電力ではLNG(液化天然ガス)を燃料に使う最新鋭の「姫路第二発電所」が蒸気タービンの不具合によって6基すべて運転を停止している。7月上旬から順次運転を再開する予定だったが、現時点では1基も稼働できていない。九州電力でも6月中旬から火力発電所のトラブルが相次いでいる。
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