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太陽光と風力の発電量、送配電事業者が地域ごとに予測へ動き出す電力システム改革(39)(2/2 ページ)

小売全面自由化で再生可能エネルギーの電力の取り扱いも変わる。地域の需給状況に合わせて発電設備の出力制御が必要になった場合には、送配電事業者が太陽光と風力の発電量を予測して小売電気事業者に配分する方法だ。出力制御に従って発電した電力は小売電気事業者が全量を買い取る。

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発電設備と需要家をグループにまとめる

 同様に風力の発電量も地域単位で風況(風速や風向など)をもとに予測する方法に変更する(図5)。従来は風力発電所ごとに月単位で出力が最も低かった5日間の平均値で予測していた。これだと実際の発電量よりもかなり低い想定になってしまう。今後は風力発電の計画値も実態に近づく見通しだ。


図5 風力発電の計画発電量の想定イメージ。出典:資源エネルギー庁

 新たな出力制御ルールと計画値同時同量制度を組み合わせることによって、再生可能エネルギーの導入量が拡大しても、地域ごとに需給バランスを維持しやすくなる。発電事業者や小売電気事業者は計画値を策定するにあたって、複数の発電設備や需要家を組み合わせて「バランシング・グループ(BG)」を設定することになっている。

 地域ごとの需給状況を調整する役割の送配電事業者は太陽光や風力を含めて発電量を予測したうえで、出力制御が必要な場合には小売電気事業者ごとに発電量を配分する。小売電気事業者は発電事業者と共同でBG単位の発電量と需要を予測しながら計画値を確定する流れだ。

 こうして計画値が決まると、発電事業者は計画値と実績に差が生じても全量を売電することができる。差分(インバランス)の電力のコストは小売電気事業者と送配電事業者のあいだで調整する(図6)。


図6 発電量の実績が計画値と比べて不足した場合の調整の仕組み(画像をクリックすると拡大)。FIT:Feed-In-Tariff(固定価格買取制度)。出典:資源エネルギー庁

第40回:「小売電気事業者に電源構成の表示を義務化、固定価格買取制度の電力はFIT電気に」

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