EVの充電しやすさとCO2削減効果の関連性、愛知県で検証開始:電気自動車
トヨタメディアサービスと豊田自動織機、日本ユニシスの3社は、電気自動車やハイブリッド車などの次世代自動車の利用促進に向けプラットフォーム事業の実証を2015年7月から開始した。
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の充電器の効率的な利用促進と、こうした環境配慮型の次世代自動車の利用によるCO2排出削減効果を検証する実証事業が愛知県で実施されている。トヨタメディアサービスと豊田自動織機、日本ユニシスの3社によるもので、環境省が実施する「EV/PHV利用促進プラットフォーム事業」の「平成27年度CO2排出削減対策強化誘導型技術・実証事業」の採択を受け、2015年7月から事業を開始した。
今回の実証事業は2014年度に実施した同実証事業の結果を検証するもの。2014年にトヨタメディアサービスが開発した充電器情報、EV/PHV利用促進情報、CO2削減情報などを集約した総合情報基盤である「EV/PHV利用促進プラットフォーム」と、同プラットフォームへ接続するスマートフォンアプリ「全国EV・PHV充電まっぷ」を活用して、愛知県のサポートのもと実施している(図1)。
実証ではEV/PHV利用促進プラットフォームと豊田自動織機が開発した「複数台充電器の電力制御システム」、日本ユニシスの「充電待ち発生予測アルゴリズム」を連動し、全国の充電インフラ情報地図である全国EV・PHV充電まっぷ上で利用者へ情報提供を行っている。こうした充電器の効率的な利用を促進することによるCO2排出量の削減効果を確認し、利用者の検索情報に対する満足度向上に向け、充電インフラ情報の仕様標準化を行い、情報収集する事業者や団体、自治体との連携を図る。
具体的には充電器利用者、設置主による情報発信機能を通じた充電行動への影響を確認する他、幾つかの施設に普通充電器を複数台設置し、豊田自動織機が開発する1カ所の充電ステーションに複数台の充電器が設置された場合の電力負荷を平準化し、ピークを抑える制御機能の効果を検証する。さらに実証選定した急速充電器の「待ち予測データ」を公開して利用者の充電行動への影響を確認することにしている。
なお充電待ち発生予測アルゴリズムはEV/PHVが増えることにより顕著となる充電渋滞の解消を目指し、充電インフラシステムサービス「smart oasis」で収集したビッグデータをもとに、今後の充電待ちや混雑状況を予測する機能がある。日本ユニシスは本実証事業でのノウハウを生かし、同アルゴリズムを使用したさまざまなサービスを展開していく予定だという。
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