水の使用量もITで“見える化”へ、日本初の「水道」スマートメーター実証を開始:スマートシティ
電気やガス分野での利用イメージが強いスマートメーターを、水道にも活用する実証実験が兵庫県神戸市で始まる。NTT東日本、神戸市水道局などが共同で、280MHz帯の広域無線ネットワークと水道スマートメーターを組み合わせ、水流量などの遠隔収集を行う。将来的に漏水管理や配送水網の最適化に活用する方針だ。
NTT西日本は2015年7月17日、神戸市水道局、Sensus Japan(以下、センサス)、ミライト・テクノロジーズと共同で、280MHz(メガヘルツ)帯の広域無線ネットワークと水道スマートメーターを組み合わせた水流量の遠隔収集に関する共同実証を開始すると発表した。実証場所は神戸水道局管内で、実証期間は2015年中の開始をめどに実験試験局免許取得後から2017年3月までを予定している。
同実証では、神戸市内の9カ所にセンサス製の水道スマートメーターを設置。数キロメートル程度離れている基地局のアンテナと水道スマートメーターを、280MHz帯広域無線ネットワークで接続し、水の流速や流量などのデータを自動収集できるかを検証する(図1)。
収集したデータはNTT西日本が開発を進めるメーターデータ管理システム「Meter Data Management System(MDMS)」を利用して、分析結果を神戸市水道局内で視覚的かつリアルタイムに把握できるようにする。こうした計測結果を基に、従来のアナログメーターとの計測精度や有用性の比較を行い、今回の実証システムが漏水などの検知に有効かどうかの検証を行う。
280MHz帯は電波到達性が高く、建物内部へも浸透可能な電波特性を有する周波数帯で、広域いエリアのカバーや対向通信装置の低消費電力化が可能という特徴がある。同周波数帯を利用した水流量の遠隔情報収集を行う実証実験は日本初になるという。
スマートメーターの活用というと電力やガス分野のイメージが強い。しかし水道業界でもいわゆるIoT(モノのインターネット)を活用した正確な漏水管理や配送水網の最適化などへの関心が高まっているという。神戸市水道局もコスト削減などを目的に水道管ネットワークの効率的な運用管理手法について検討を進めていた。そこで今回、ICT活用の提案を進めるNTT西日本、水道スマートメーターの海外導入実績を持つセンサス、280MHz帯広域無線ネットワークの実証実験の実績を持つミライト・テクノロジーズによる共同実証が決まったという。
今後は今回の実証で得た知見やノウハウを活用し、電力やガスに次ぐスマートメーターの新たな活用分野として「水道管ネットワーク管理」の実現に向けた検討を行うとしている。具体的には、NTT西日本がシステムの実用化に向けた検討を進め、神戸市水道局が遠隔からの水流量の把握や漏水検知の仕組みおよび運用面などの観点から検証を進めていくとしている。
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