日本の蓄電池技術を世界展開、東芝などがマレーシアでEVバスの導入実証:電気自動車
マレーシアでNEDOプロジェクトによるEVバスの導入実証事業が始まる。東芝、ピューズ、ハセテック、オリエンタルコンサルタンツグローバルなどが現地企業と協力し、2015年度から2年間同国の行政首都であるプトラジャヤ市でEVバスの運行を行う。今回の実証事業をショーケース化することで、日本のEV関連技術の国際展開を目指す方針だ。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)はマレーシアのプトラジャヤ市とEV(電気自動車)バスによるスマートコミュニティの実証と普及に向け協力を進めていくことで合意し、このほど基本協定書(MOU)を締結した。2015年度から2年間、プトラジャヤ市で日本の蓄電池および充電技術を活用したEVバスの導入実証に取り組む。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも、マレーシア政府はEVバスの導入政策で先行している。特にマレーシアの行政首都であるプトラジャヤ市は計画都市としてグリーンシティを掲げるなど、同国およびASEAN地域におけるEVバスのショーケースとして最適な都市とみられている。こうした背景からNEDOは同市と共同でスマートコミュニティの実証と普及に向けた協力を進めていくことにした。
実証では、同市で長寿命かつ急速充電が可能な二次電池搭載の大型EVバス11台と急速充電器などを用い、熱帯気候におけるEVバスシステムの走行実証を通じて、環境に配慮した都市交通システムの実現を目指す(図1)。
具体的には東芝、電気自動車用制御システムなどの開発を手掛けるピューズ、電気自動車用急速充電器などの開発・製造しているハセテック、総合コンサルタント企業のオリエンタルコンサルタンツグローバルの4社と、マレーシアのバス運行会社であるプトラジャヤバス(PAPSB)が共同で、2015年度から2年間、蓄電池の熱帯地域における動作実証を実施する。
さらにEVバスの走行能力、車両法規、熱帯環境への適応性、システムの有用性を実証するとともに、長寿命特性と急速充電性能を持つ日本の蓄電池技術を用い、バスターミナルに設置した充電装置を組み合わせ、10分間の急速充電によるEVバスシステムの実運行を行う。今回構築するシステムでは、EVバスに搭載されたバッテリーの電池残量の他、電圧や電流状態のモニタリングを可能にしており、電池の残量不足や故障を未然に防ぐこともできるという。
NEDOでは今回の実証事業をショーケース化することで、マレーシアがASEANのEVハブとなることに貢献し、さらに日本の蓄電池技術の国際展開を目指す方針だ。
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