駅の連絡通路を、再生エネ+蓄電池でスマートな防災拠点に:蓄電・発電機器
鹿児島県薩摩川内市は利用客の多い河内駅の防災拠点化を進めている。さらに非常時用の電力に太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用する計画で、このエネルギーシステムの整備を三菱電機が受注した。完成は2015年12月を予定している。
三菱電機は鹿児島県薩摩川内市が進める「川内駅次世代エネルギー導入事業」において、エネルギーシステムの整備工事を設計・施工一括方式で受注した。薩摩川内市は、国内で初めて自治体所有の駅自由連絡通路などの防災拠点化を目指している。同社は川内駅にエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、再生可能エネルギー(太陽光発電・風力発電)などを統合することで、非常時に防災拠点として機能する同駅への安定した電力供給を行う。完成は2015年12月を予定している。
東日本大震災以降、防災機能強化などの施策に基づき、国内では「道の駅」や高速道路のサービスエリアなどが防災拠点化が進んでいる。薩摩川内市は、火力発電所および原子力発電所が立地し、これまで基幹エネルギーの供給地としての重要な役割を担ってきた。しかし2014年3月に策定した「薩摩川内市次世代エネルギービジョン・行動計画」に基づき、現在では次世代エネルギーを活用したまちづくりを推進している。
同市では人が集まる駅周辺の防災拠点化を目指しているが、九州新幹線と鹿児島本線、肥薩おれんじ鉄道の3路線が交差し、1日に5000人以上が利用する川内駅と駅付帯公共施設では、非常時の安定した電源確保が課題となっていた。そこで三菱電機は、同市が保有する自由通路などの防災拠点にEMSを導入することで、平常時と非常時の安定した電源の確保を目指す(図1)。
具体的にはEMSに三菱電機のスマートコミュニティシステム「MELSmart」を活用し、駅前広場などに設置される太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーを統合。さらに電力供給の監視・計画・運用も支援する。電力供給計画シミュレーション画面では、天候により大きく変動する太陽光発電の発電量を天気予報から参照して自動的に入力設定を可能している。平常時にはピークカット運用により、CO2や電力料金を削減するなどして最適な電力需給の実現に向けた取り組みを行う。
非常時には、自立分散電源の供給負荷および発電状況から、電力供給可能時間を算出。算出された電力供給可能時間を自治体職員や市民に情報提供し、非常時の防災拠点の継続運用を支援していく。なお今回導入する設備はEMSの他、30kw(キロワット)の太陽光発電システム、5kwの風力発電システム、出力40kWh(キロワット時)相当のリチウムイオン蓄電池システム、LED照明などである。
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