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配電設備の保守から生まれる伐採樹木、産廃にせず木質バイオマスに:自然エネルギー
電線などの配電設備に隣接する樹木は、停電などを防ぐために定期的に伐採を行っている。一般的に伐採した樹木は産業廃棄物として処分するが、中部電力グループのトーエネテックはこれを木質バイオマスとして活用する取り組みをスタートした。
中部電力のグループ企業で電気・情報通信・空調・電力供給設備の企画、設計施工などを手掛けるトーエネテックは、配電設備の保安のために伐採した樹木を木質バイオマスとして活用する取り組みを2015年6月より開始した。
夏を迎えると樹木が葉が茂りはじめる。電気事業者は伸びた枝葉が電線などの配電設備に触れてトラブルが起きないよう定期的に配電設備を点検したり、必要に応じて樹木の伐採を行ったりしている。一般的に伐採された樹木は産業廃棄物として処理される場合が多いが、トーエネテックはこれを木質バイオマスとしてバイオマス発電所などの燃料として有効利用する。
現在同社は伐採した樹木の保管場所を保有しているなどの条件から、愛知県一宮市、滋賀県津市、三重県桑名市の3つの事業場でこうした取り組みを実施している。こうした取り組みで木質バイオマスとして活用する樹木は、3事業場の合計で年間400トンを見込んでいるという。
今後は現在の3事業場の運用方法などを基に、伐採樹木を木質バイオマスとして取り扱う事業場数を増やしていく方針だ。
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