アクセンチュアとSAP、新電力の支援サービスで協業を強化:電力供給サービス
2016年4月からの電力の小売全面自由化に向け、新たに市場参入する電力事業者をターゲットにしたITベンダーの取り組みも本格化している。アクセンチュアとSAPはこのほど、新規参入事業者向けのサービス領域で協業を強化する方針を発表した。
アクセンチュアとSAPジャパンは2015年8月17日、アクセンチュアの公益事業者向けのクラウド型業務基盤サービスである「AEPS(Accenture Energy Platform Services)」に、SAPジャパンのCIS(小売営業料金システム)採用し、共同で国内の電力事業者向けのサービス提供を開始すると発表した。両社は2016年4月からの電力の小売全面自由化に備え、新規参入事業者向けのサービス領域で協業を強化する方針だ。
アクセンチュアのAEPSは電力事業者向けの料金計算システムを中心に、電力の小売に必要な情報システムの機能を備えたクラウド型業務基盤サービス(図1)。2014年3月から一部機能の提供を開始しており、2015年10月から機能を拡充する方針を発表している(関連記事)。アクセンチュアは世界30カ国、200社以上の公益事業者を支援してきた実績があり、こうした支援実績やノウハウを集約したテンプレートになっているという。
一方SAPでは、全世界で約4600社の電力やガスなどの公益事業者に対し、顧客管理、エネルギーデータ管理、料金計算、スマートメーターデータ分析、管理会計、設備管理や人材管理など、公益事業のバリューチェーンをトータルに支援する「SAP for Utilities」を中心としたさまざまなサービスを展開している。CISの領域においては全世界で約800社の導入実績を持っており、世界各国の電力事業者に電力小売自由化への対応支援を行ってきた。
今回AEPSで提供するSAPのサービスは、SAP for Utilitiesをベースにしたものになるという。アクセンチュアはこれまでも国内外でSAPソリューションを導入してきた実績がある。2016年4月からの小売全面自由化を見据え、両社の持つグローバルなノウハウを活用して新規参入事業者向けのサービスを強化する狙いだ。
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