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安全で長寿命な「全固体リチウムイオン二次電池」が実現か、MITなどが開発:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
マサチューセッツ工科大学とサムスングループは、全固体リチウムイオン二次電池を実現する「固体電解質材料」を開発したと発表した。
リチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄の化合物
新たに開発されたリチウムイオン伝導体は、リチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄の化合物である。リチウムイオン伝導体として知られている材料に焦点を当てたことが最初の発見につながったという(図2)。
新電解質によるリチウムイオン二次電池は、“燃えない”ことによる安全性や、10万回以上の充放電サイクルでも性能の劣化がないという“長寿命”を実現した他、従来は十分な性能を発揮できなかった−30度の極寒の環境でも性能を発揮することが可能だという。また電力密度も20〜30%の改善につながるとしている。
リチウムイオン電池の全固体化が実現すれば、蓄電池の利用用途はさらに大きく広がることになり、期待が高まっている。
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