2020年に“環境未来都市”の実現へ、水素インフラの整備を急ぐ横浜市:スマートシティ
横浜市は2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに燃料電池車の普及台数を2000台、水素ステーションを10カ所整備するという目標を掲げている。同市内では現在2カ所の水素ステーションが稼働しているが、整備の促進に向けて新たに市有地を活用する事業者の公募を開始した。
横浜市は港北区の市有地に水素ステーションの整備・運営を行う事業者の公募を開始した。設置する水素ステーションは、固定式かつ水素製造設備を敷地内に置かないオフサイト方式で、300Nm3/h以上の供給能力を持つことが条件となる。
同市が事業者に貸し出しを行う土地は、横浜市港区新横浜3丁目に位置する駐車場跡地で、貸付面積は約1580平方メートルだ(図1)。応募には次世代自動車振興センターが行う「水素供給設備整備事業費補助金」か、環境省が行う「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の交付決定を受けていることが条件となる。入札参加申し込み期間は2015年8月14日〜同年9月2日まで。
2020年までに10カ所の水素ステーションを整備
横浜市は2015年3月に次世代環境都市の実現に向け、再生可能エネルギーを活用した分散型電源の導入などをはじめとする「横浜市エネルギーアクションプラン」を策定している。同プランの中では次世代エネルギーとして期待される水素の利活用も、主要施策の1つに位置付けられている(図2)。
具体的には2020年までに家庭用燃料電池を4万台、燃料電池車を2000台普及させるという目標を掲げている。同時に燃料電池車の普及に欠かせない水素ステーションは10カ所を整備する計画だ。
現在、横浜市内では2015年2月から旭区と泉区の2カ所で水素ステーションが稼働している。この2カ所はともに固定式のステーションで、JX日鉱日石エネルギーが運用を行っている。さらに2015年度中には中区で移動式ステーションの運用開始に向けた取り組みが進められている。そして今回、市有地を活用することで水素ステーションの整備をさらに促進する狙いだ。
横浜市ではこうした取り組みに加え、燃料電池バスの導入も計画している。さらに再生可能エネルギーによる水素製造の実現も目指し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは次世代エネルギーインフラを実現する「環境未来都市・横浜」として世界に向けアピールしたい考えだ。
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