省エネ・創エネ製品をたくさん売る、パナソニックの環境戦略:省エネ機器(2/2 ページ)
パナソニックは、2014年度の環境経営に向けた取り組みを発表。地球温暖化対策としてCO2削減と資源循環に向けた取り組みを進めていく。
利用資源のリサイクルなども加速
一方で資源循環についても、2014年度は再生資源の利用率は減少したものの目標値以上の水準を維持している。「建材の販売減に伴い、管理木材の使用量が減少した」と長崎氏は述べている。また工場廃棄物のリサイクル率の向上も進み、廃棄物発生量は3万8000トン減少している(図4)。
家電リサイクル法に伴い、家電のリサイクルなどを行うパナソニック エコテクノロジーセンターでは新たに3種類の樹脂を同時選別する近赤外線樹脂選別装置を導入。さらにパナソニックエコテクノロジー関東では新技術採用の冷蔵庫処理ラインで処理の高効率化を実現するなど、再資源化能力の向上にも取り組んでいる。
調達面でも、東京製鐵と協業し、使用済み家電製品から発生する鉄スクラップをリサイクルし自社製品の鋼材として使用する取り組みを開始。2013年7月からのスタートで2013年度は約1000トン、2014年度は約2100トンと大きく利用量を拡大したという。
環境配慮製品の比率拡大
さまざまな取り組みの中で、CO2削減および資源循環それぞれで大きく貢献したのが環境配慮製品の普及拡大だ。CO2排出量削減においてはスコープ3で「販売した製品で発生するCO2排出量」なども考慮する必要があるが、2014年度は環境配慮製品の比率が高まったことにより、CO2排出量を約5%、410万トン削減することに成功した。
パナソニックでは、環境配慮製品を戦略的に拡大するために「戦略GP(グリーンプロダクツ)」を設定。以下の3つの点により定義し、積極的な普及拡大を進めてきた。
- 業界トップクラスの環境性能:省エネ製品、節水製品、省資源製品など
- 普及促進そのもので地球環境への負荷抑制:太陽光発電などの再生可能エネルギー製品、家庭用燃料電池・蓄電池、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)、スマートハウス・スマートシティ、次世代自動車の環境関連技術、次世代照明など
- 地域での環境負荷の直接低減、または対策支援:浄水器、空気清浄機、環境エンジニアリングなど
これらのグリーンプロダクツの比率は2013年度の17%から2014年度は19%に拡大。例えば、2014年度は特に積極的に展開する製品として、全自動おそうじトイレ「新型アラウーノ」、太陽電池モジュール「HIT」、EV鉛蓄電池「電動フォークリフト用組電池システム」の3つを「スーパーGP」と据え、普及を強化してきた。
2015年度については、CO2削減貢献量4700万トンを据え、2014年度実績から比べても386万トンも削減量を増やさなければならないが「中心となるのは環境配慮製品の普及拡大となる。2015年度は省エネ性能などに優れた環境配慮製品のラインアップも増え、販売も伸ばしていけると見ている。この伸びで削減貢献量を増やしていける」と長崎氏は述べている。
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