ビル内で分散設置できるチラー、省スペース化と工事簡略化が可能に:省エネ機器
ダイキン工業は「業界初」(同社調べ)となるセパレート型(分散設置型)のチラーユニットを採用した製品を開発し、2015年12月に発売する。
首都圏の再開発による大型物件の増加や、更新時期を迎えている吸収式冷凍機からの熱源転換による更新需要などで、熱源機を連結して増減できる空冷チラーは増加傾向にある。また、部分負荷特性に優れたものや設置自由度が高く更新対応力に優れたチラーへのニーズは高まってきている。
こうしたニーズに対応し、ダイキン工業はこれまで「一体型」だけだったチラーで、空気と冷媒の熱交換をおこなう熱源ユニット4台と、冷媒の熱で冷温水を作るハイドロユニット1台を冷媒配管で接続するセパレート型を開発した(図1)。
ハイドロユニットと熱源ユニット間の冷媒配管は最大実長100メートル(高低差50メートル)で、屋上と各階機械室に分散設置することができる。また、屋上クーリングタワースペースに熱源ユニット、地下機械室にハイドロユニットを設置するなどスペースの有効利用にもなる。既設冷温水配管を最大限に流用も可能で、現地工事の簡略化が図れる利点もある。
さらにハイドロユニットを室内に設置し、2次側(室内)空調機への水配管距離を短縮することで、冷温水ポンプの動力低減やポンプのサイズダウンにも貢献する。ユニット単位に分かれる熱源ユニットとハイドロユニットは、エレベーターへの積載が可能な寸法となっており、更新時にクレーン車両がなくても搬入できるため、搬入作業の省力化につながる。
この他、ビル用マルチエアコンに採用した新型スクロール圧縮機の搭載により、低負荷時の運転効率が向上し期間成績係数IPLV46.4の業界ナンバーワン省エネ性能を達成した。新型スクロール圧縮機は、低回転時の圧縮漏れのロスを極小化する背圧コントロール機構を採用することにより、年間を通じた運転効率の向上を実現する。これにより省エネ性が従来機に比べ16%向上した。ラインアップは両シリーズともセパレート型3機種(30〜50馬力)と一体型3機種(同)。
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