大市場の電力販売量が7月に激減、東京5.4%減、関西4.3%減:電力供給サービス
7月の電力の販売量は地域によって大きな差が出る結果になった。東京電力の管内は前年比で5.4%減り、関西電力の管内でも4.3%減った。特にオフィスで利用する業務用の電力が7%前後の大幅な落ち込みになった。一方で東北・北陸・沖縄の3地域は前年7月の販売量を上回った。
全国10地域の電力会社が7月に販売した電力量を見ると、大都市圏ほど減少率が大きくなっている(図1)。特に東京の落ち込みが激しく、家庭向けの「電灯」が前年7月と比べて6.3%、オフィス向けの「業務用」が7.7%も減った。天候の影響だけとは考えにくく、節電の効果がさらに高まったと言える。
オフィス向けでは企業や自治体が電力会社から新電力へ切り替えるケースも増えている。業務用の販売量は沖縄以外の9地域で前年を下回った。減少率が大きいのは東京、北海道、関西の3地域で、電気料金の水準が高いところばかりだ。電気料金が全国で最も安い北陸では業務用の販売量は前年比で0.1%しか減っていない。
関西電力は6月に電気料金を値上げしたが、9月までは軽減措置で値上げ幅を抑えている。この効果もあってか、家庭向けの電灯は前年比で2.3%の減少にとどまった。軽減措置が終わる10月からの販売量、さらに小売全面自由化が始まる2016年4月からの販売量がどうなるか注目だ。
対照的に東北・北陸・沖縄は前年を上回る販売電力量を記録した。いずれも家庭向けの電灯の需要が伸びている。このほかに北海道と中国でも電灯の販売量は前年よりも増加した。天候の影響も考えられるが、各地域で節電効果が薄れてきている可能性がある。中でも北陸と中国は電気料金が安く、節電のインセンティブが働きにくい状況だ。CO2排出量の削減に向けて新たな促進策が必要かもしれない。
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