停電少ないドイツ、再生エネでも品質維持:自然エネルギー(2/2 ページ)
火力発電と比較したとき、再生可能エネルギーを利用した発電は不安定だと考えられている。大量導入したとき何が起こるのか。再生可能エネルギーの導入比率が日本の2倍以上に及ぶドイツの事例が参考になる。ドイツは2014年、停電時間の最短記録を達成した。
右肩下がりで停電時間を短縮
12.28分という数字は、顧客1軒当たりの年間停電時間(SAIDI:System Average Interruption Duration Index)を意味する。図3に2006年から2014年までの年間停電時間の推移を示した。低圧(青線)には230Vの低圧契約が含まれている。中圧(オレンジ線)は6kW以上の中圧契約。
低圧の停電時間は順調に下がり続けており、2014年は2.19分。中圧も同じ傾向にあり、10.09分だ。ネットワーク庁は低圧と中圧の停電時間を単純に加算した値を合計値(12.28分)として今回公表した(加重平均ではない)。
図4は停電の件数だ。件数ベースでも停電の減少が分かる。2014年時点、低圧は14万7800件、中圧は2万6000件。合計すると17万3800件である。ネットワーク庁は件数を集計する際、3分以上の停電を対象としている。
日本の停電は16分
国内の停電状況は、ドイツと比較してどの程度の水準にあるのだろうか。電気事業連合会の発表によれば、2013年度の顧客1軒当たりの年間停電時間は16分(10電力計)*2)だった。
*2) 集計方法に違いがあるため、単純にドイツよりも停電時間が長いとは言い切れない。なお、停電時間は電力会社によってばらつきがある。東京電力は4分(同年度)、関西電力は同5分、九州電力は同12分だ。
国内は台風の影響を受けて、停電時間が大きく変わりやすい。電気事業連合会の発表によれば、1991年度は台風19号の影響で停電時間が169分(10電力計)と長くなった。2004年度にも台風などの影響を受けて88分(同)に達した。
電気事業連合会の資料を参照すると、再生可能エネルギーの影響がまだ表に現れていないように見える。固定価格買取制度が始まった2012年以降、停電時間は短縮し続けている*3)。
*3) 東日本大震災による停電増の影響が大きいため、再生可能エネルギーの影響が見えにくくなっている。2010年度の停電時間は514分。2011年度は79分、2012年度は37分だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
再生エネ=最大の電力源、80%の目標に向かうドイツの戦略
ドイツ連邦経済エネルギー省は、総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合が2014年、過去最高の27.8%に達したと発表した。これまで最大の電力源だった褐炭を初めて上回ったという。輸入資源である石油や天然ガスの比率も同時に下げた。
再生エネで電力の28.5%得る、バランス良く進むドイツ
ドイツBDEWは、2014年上半期の総発電量に占める再生可能エネルギーの比率が28.5%に達する見込みだと発表した。電力の3本柱をうまく使いながら、再生可能エネルギーを増やしている形だ。
輸出が上回ったドイツの電力、脱原発でも伸びる
エネルギー政策についてはドイツの先進事例から学べることが多い。例えば、2011年以降、原子炉を8基停止したにもかかわらず、周辺諸国に対する電力輸出量が増加、2012年には14億ユーロの純輸出を達成した。

