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“ハマの風”から水素を作る、京浜臨海部で水素サプライチェーンの構築実証:スマートシティ
神奈川県の京浜臨海部で、再生可能エネルギーを利用したCO2フリーな水素の製造と、その貯蔵、輸送、利用までを含めた水素サプライチェーンの構築を目指す実証プロジェクトの検討が始まった。自治体3者と水素関連事業を手掛ける民間企業4社が共同で行うもので、2016年4月以降に本格的な実証を開始する計画だ。
次世代エネルギーとして期待される水素の利活用に向け、神奈川県の京浜臨海部で行う大規模な実証プロジェクトの検討が始まった。神奈川県、横浜市、川崎市の自治体3者と、岩谷産業、東芝、トヨタ自動車、トヨタタービンアンドシステムの4社が共同で取り組むもので、再生可能エネルギーによる電力を利用してCO2フリーな水素を製造し、さらにその「貯蔵」「輸送」「利用」も含めた水素サプライチェーンの構築を目指す計画だ(図1)。
この実証プロジェクトは、環境省が実施する「平成27年度連携・低炭素水素技術実証事業」の委託事業として行うもの。具体的な実証内容の検討や事業可能性の調査はこれからだが、現時点で以下の4つの実証テーマが挙げられている。
- 風力発電により水を電気分解して水素を製造するシステム
- 最適な水素供給を行うための貯蔵と輸送の仕組み
- 燃料電池フォークリフトの導入利用
- 水素サプライチェーンの事業可能性調査(水素価格、CO2削減量など)
水素の製造に利用するエネルギーは、風力発電による電力を活用する計画だ。神奈川県横浜市のみなとみらい21地区付近に位置する横浜市風力発電所(通称:ハマウィング)で発電した電力を利用する。同発電所にはデンマークのVestas社製の高さ78メートル、定格出力1980kW(キロワット)の風力発電設備が設置されており、2007年3月から運転を開始している(図2)。
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