水没した太陽光設備は専門家以外さわってはいけない:太陽光
太陽光発電協会は2015年9月11日、豪雨被害で水没した太陽光発電設備が多く生まれたことに対し、初期対処法について発表を行った。感電の危険があるため基本的には電気工事士および電気主任技術者などの専門家に任せるべきとした内容だ。
栃木県、茨城県、宮城県などを襲った豪雨被害の影響から、太陽光発電設備も大きな被害を受けた状況だが「安易に近づくべきではない」と太陽光発電協会が警鐘を鳴らしている。
被害からの復旧作業が徐々に進みつつある状況だが、太陽光発電設備のパワーコンディショナーや太陽電池パネルと電線の接続部などは、接触すると感電の恐れがある。また太陽電池パネルおよびパワーコンディショナーが破損している場合も、近づくと感電する恐れがあるため、基本的には専門家に任せるべきだという(図1)。
太陽光発電設備が被害を受けた場合、50kW(キロワット)未満の場合は販売施工事業者に連絡して対処を行ってもらい、50kW以上の場合は選任されている電気主任技術者に対策を依頼することを推奨している。
破損した太陽電池パネルについては、絶縁不良となり接触すると感電する恐れがある他、接続が活線状態であった場合、日射を受けると発電し高い電圧や電流が生じる恐れがあり、危険。そのため周辺にロープを張るなどの対策が必要だとしている。パワーコンディショナーについては、浸水した場合直流回路が短絡状態になる可能性があるため、太陽電池からの電流が流れ込んだ場合は発熱する恐れがある。いずれもゴム手袋やゴム長靴などの感電対策を必須であり、パワーコンディショナーについては遮断器で解列することを推奨するとしている。
太陽光発電設備の設置拡大が進んでいるが、災害被害や、廃棄物の問題などが増えてきている。政府でも処分方法のガイドラインやリサイクルシステムを整備して2018年度から適用する方針を示している(関連記事)。今後は災害対策についても、ガイドラインを用意する必要があるかもしれない。
関連記事
- 増え続ける太陽光発電の廃棄物、2018年にガイドライン適用へ
再生可能エネルギーの中でも環境負荷が小さい太陽光発電だが、導入量の拡大に伴って使用後の廃棄物が増えていく。太陽電池モジュールの排出量は2030年代に年間80万トンにのぼる見込みだ。政府は処分方法のガイドラインやリサイクルシステムを整備して2018年度から順次適用する。 - 国内初の取り組み――使用済み太陽電池を回収して再資源化する
太陽光発電システム鑑定協会は、使用済みの太陽電池を回収して再資源化するサービスを2014年1月に開始する。今後2〜3年で廃棄量が急増すると予測できるため、社会問題になる前に民間の力でサービスを始める。太陽電池1枚当たり、1200円を徴収する。 - 太陽光発電で怖い「アーク放電」、0.25秒で検出・遮断して発電は継続
三菱電機は2015年2月、太陽光発電システムで発生するアーク放電事故を0.25秒以下で検出、遮断できる技術を開発したと発表した。従来よりも8倍程度高速だ。遮断したとしても健全な回路を使って発電を継続できるという特徴がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.