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環境政策でリードするカリフォルニア州、抱える2つの課題に日本企業が挑む:スマートシティ(2/2 ページ)
米国の中でも再生可能エネルギーやEVの導入を積極的に進めているのがカリフォルニア州だ。一方でEVの利用が都市部にとどまっていることや、再生可能エネルギーの導入拡大により電力網が不安定になるといった課題も抱えている。NEDOはこうした同州の課題解決に向け2つの実証事業に取り組む。
レドックスフロー電池による大規模蓄電実証も実施
蓄電池の送電・配電併用運転実証についてはレドックスフロー(RF)電池を用いた大規模な実証実験に取り組む。カリフォルニア州は、高い再生可能エネルギー導入目標(2020年に33%)を掲げているが、太陽光発電の増加による朝夕の急激な需要変動が観測される需要曲線(ダックカーブ)や、電力品質劣化の問題が顕在化しつつある。
そこで同州では2010年に制定した州法「AB2514」で、大規模な系統用蓄電池導入義務を電力会社(ユーティリティ)に課している。さらに州内の各公益機関が協力して「蓄電池ロードマップ」を策定し、蓄電池システムの導入で適正な収入を得られるような制度設計の検討が進められている。今回の実証で利用するRF電池は、高速応答性が必要な用途(短周期)と、長時間容量が必要な用途(長周期)のいずれにも適しており、再生可能エネルギー導入による諸問題の解決に有効と考えられている。
そこでNEDOは、サンディエゴで電力会社や系統運用機関と協力して米国最大となるRF電池の大規模な実証事業の実施を決めた。実証事業の委託先は住友電気工業。現地の電力会社の協力を得て、変電所内にRF電池を設置し、普及展開に向けて送電・配電併用運転による経済価値向上について検討する(図2)。
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