「太陽電池リサイクル」の採算性、低コスト化するプロジェクトが始動:太陽光(2/2 ページ)
NEDOは、太陽光発電の大量導入社会を実現するために、太陽電池のリサイクルや発電コスト低減を目指すプロジェクトを新たに開始する。
太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト
太陽光発電のコストは、普及当初に比べれば減ってはきているものの、他の電源に比べると割高であることには変わらない。さまざまな技術革新により、太陽電池モジュールの発電効率向上や生産技術の向上などにより、モジュールだけを見た採算性は高まってきたといえるが、さらなる発電コスト低減のためには周辺機器や維持管理も含めた発電システム全体として低コスト化が必要となる。NEDOが今回実施するのは、この周辺部分の低コスト化を目指したものだ。
具体的な目標として「工事を含む周辺機器コスト全体を10%以上削減する低コスト化技術の開発(発電コスト換算で2円/kWh以上の削減効果)」と「維持管理コストを30%以上削減する低コスト化技術の開発(発電コスト換算で1円/kWh以上の削減効果)」の2つを目指すという。これらにより、2020年の太陽光発電の発電コスト目標14円/kWh達成に貢献していくという。
このプロジェクトで採択されたテーマは以下の2つだ。
- 奥地建産「高耐久軽量低コスト架台開発と最適基礎構造適用研究」
- 地域エネルギー、太陽光発電所ネットワーク「分散型PCSメガソーラーへの遠隔診断制御クラウドと対処手順の開発」
奥地建産が取り組む「高耐久軽量低コスト架台開発と最適基礎構造適用研究」は、設置する地盤の状況や環境に応じて基礎と架台の最適な組合せを設計し、低コスト化を図るというものだ。
具体的にはまず、耐久性と軽量性を兼ね備えたトラス構造(三角形を基本単位に、その集合体で形成された構造)などを用いた架台の低コスト設計・施工技術の開発を行う。この架台が太陽光発電システム特有の腐食影響をどう受けるか検証するとともに土質状況により影響を受けやすい地際の腐食対策技術の開発を実施する。これにより、太陽光発電システムの初期コストと維持管理コストの双方でコスト低減を実現することを目指す(図2)。
関連記事
- 増え続ける太陽光発電の廃棄物、2018年にガイドライン適用へ
再生可能エネルギーの中でも環境負荷が小さい太陽光発電だが、導入量の拡大に伴って使用後の廃棄物が増えていく。太陽電池モジュールの排出量は2030年代に年間80万トンにのぼる見込みだ。政府は処分方法のガイドラインやリサイクルシステムを整備して2018年度から順次適用する。 - 国内初の取り組み――使用済み太陽電池を回収して再資源化する
太陽光発電システム鑑定協会は、使用済みの太陽電池を回収して再資源化するサービスを2014年1月に開始する。今後2〜3年で廃棄量が急増すると予測できるため、社会問題になる前に民間の力でサービスを始める。太陽電池1枚当たり、1200円を徴収する。 - 太陽光を改善する「21の方法」、長寿命化や熱利用
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2014年7月、太陽光発電システムの改善に役立つ21のプロジェクトを開始すると発表した。システムの寿命を延ばす、太陽熱を電力と併せて利用する、リサイクルを効率化するなどの取り組みだ。太陽電池の変換効率向上や製造コスト低減ではなく、システム全体の効率、コストに着眼した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.