LED電球は2017年度の省エネ基準へ、年間の消費電力量が10kWhレベルに:省エネ機器
家庭を中心に急速に普及が進むLED電球の消費電力はさらに低下していく。パナソニックは新開発の「一体成型ヒートシンク」を採用した新製品6機種を発売して、従来品と比べた消費電力を最大で30%以上も削減した。40形のLED電球では年間の標準的な消費電力量が10kWh以下になる。
パナソニックが10月21日に発売する「LED電球プレミア(全方向タイプ)」は6機種で、いずれも省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)で定めた2017年度の目標基準値をクリアした(図1)。
LED電球(電球型LEDランプ)は2013年度から省エネ法の「トップランナー規制」の対象になり、目標年度の2017年度以降に販売する製品は基準値を守ることがメーカーや輸入事業者に義務づけられる。基準値は光源の色によって決められていて、昼光色・昼白色・白色が110.0lm/W(ルーメン/ワット)、電球色・温白色が98.6lm/Wである。
lm/Wは照明器具のエネルギー消費効率を示す指標で、消費電力1Wあたりの明るさ(光の量)を表す。パナソニックのLED電球は2013年に発売した従来品では60形(白熱電球の60W相当)の昼光色で81.0lm/Wだったが、新製品では110.9lm/Wに向上してトップランナー規制の基準値を上回る(図2)。消費電力は10Wから7.3Wへ、37%少なくなる。
一般家庭では年間の照明点灯時間は2000時間(1日あたり平均5.5時間)が標準とされている。これをもとに年間の消費電力量を計算すると、60形の昼光色で20kWh(キロワット時)から14.6kWhへ減る。40形の場合には消費電力が4.4Wになり、年間の消費電力量は8.8kWhで済む。
LED電球はモジュールの温度が低いほど消費電力も少なくて済む特性がある。パナソニックはLEDから発生する熱を口金の方向に流して温度を下げるヒートシンクを改良した。従来品はLEDのモジュールを搭載するプレートとヒートシンクを個別のパーツで構成していたが、新製品では一体成型にして熱の伝導性を高めた(図3)。
省エネ法では家庭や企業で利用する主要な電気製品に対してエネルギー消費の基準値を目標年度ごとに規定している。LED電球の場合には2017年度の基準値が初めて設けられた。すべての製品に省エネルギーラベルを貼って、基準値を満たしていることを表示する必要がある(図4)。
メーカーや輸入事業者は目標年度以降に販売する製品の基準達成率を加重平均して100%を下回ると、経済産業大臣から勧告や命令を受けて、100万円以下の罰金を科せられる。これから新たに発売するLED電球の大半は2017年度の基準値をクリアすることが求められる。
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