“名ばかり発電事業者”の認定取り消しを強化、市場健全化へ一歩一歩:電力供給サービス(4/4 ページ)
経済産業省は、固定価格買取制度活用のため、国から認定を受けていながら実際の発電事業や系統接続を行わない事業者に対し、認定取り消しなど取り締まりを強化する方針を決めた。
認定のタイミングや調達価格の設定時期も変更へ
こうした取り締まりの強化に加え、ワークフローや調達価格時期などの変更を行い、基本的に「発電しなければ認定しない」という仕組み作りにも取り組む。
認定時期については、現状では買取の対象となる発電を国が認定することで認定を受けた発電設備で系統接続を電力会社に申し込んだ場合、電力会社が応じる義務が発生する。そのため、電力会社への接続申し込みの前に、認定を行うというフローになっている。しかしこれでは、事業の確度が低い段階での認定取得となり、実際の事業運営に近くになり不採算であれば未稼働のままで放置するという状況が起こりやすい。
そこで、見直し案では、認定時期を系統接続契約の締結後に移すという。こうすることで事業実施の可能性が高い案件を認定できるようになり、未稼働案件の抑制に貢献する(図5)。
調達価格の決定時期についても最適化に向けた変更を検討する方針だ。現状では、認定を取得し電力会社に接続申し込みをした段階で、調達価格が決定することとしていた。そのため、価格を決定させた上で、設備の値下がりを待って事業化しない案件や、系統容量超過の恐れが出て電力会社から接続承諾が得られない案件が発生。これらの動きから2015年4月には太陽光においては、価格決定時期を「接続契約の締結時」に後ろ倒しし、コスト構造が確定する時期に価格決定時期を近づけるようにした。その他の再生可能エネルギーについては現在は、電力会社の接続申し込み時期のままだが、今後太陽光以外についても再検討する方針だ(図6)。
その他、認定案件について適正な事業実施が行われているかどうかを検証できるように、認定情報を原則公表することも検討する。現状では、有効な法律がかけられておらず、さらに地域が情報を把握する仕組みがないため、景観問題など地域トラブルが発生するケースが生まれている。情報公開を行うことでこれらの情報を事前に把握できるようにし、業務改善要求などを政府からも行えるようにすることを目指す。
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