2つのエネルギー網を連携する日本初のプロジェクト、電力需要の最適化へ:スマートシティ
東京ガス、三井不動産、三菱地所の3社はJR田町駅周辺の再開発を行う「TGMM芝浦プロジェクト」(仮称)を進めている。同プロジェクトにおいて東京ガスなどはスマートエネルギーネットワークの構築を行う計画だ。2つネットワークを連携する日本初の取り組みになるという。
東京ガスと同社の100%出資子会社である東京ガスエンジニアリングソリューションズ(東京ガスES)は2015年9月28日、東京ガス、三井不動産、三菱地所がJR田町駅東口北地区(東京都港区)II街区(西側エリア)の再開発を行う「TGMM芝浦プロジェクト」(仮称)において、スマートエネルギーネットワーク(SEN)の構築を行うと発表した。
SENはガスコ―ジェネレーションと再生可能エネルギーや未利用エネルギーを組み合わせ、これを情報通信技術(ICT)により最適に制御し、効率良く熱や電気を供給することで、省エネルギーとCO2削減を実現するシステム。今回両社は環境性に優れ、災害に強いまちづくりに貢献するため、同地区に設置する「第二スマートエネルギーセンター」を中心として同プロジェクトのオフィス、商業施設、ホテルなどの施設を熱・電気・情報のネットワークで連携しSENを構築する。
施設の完成に合わせて、2018年から熱・電気の供給を開始するとともに、I街区(東側エリア)の既存のSENと連携することで熱の相互融通を行い、両街区全体でエネルギー需給の最適化を目指す。2つのSENを連携するのは日本で初めての取り組みという(図2)。
具体的には両街区間に熱融通配管などを設けることで熱の相互融通を行うなど、それぞれの街区に導入された再生可能エネルギー、ガスコージェネレーション、業務用燃料電池や空調熱源などを、SENEMS(スマートエネルギーネットワーク・マネージメントシステム)を活用し最適に制御する。導入される設備はガスコージェネレーション(ガスエンジンおよび業務用燃料電池)太陽熱集熱パネル、排熱投入型蒸気吸収冷凍機、ターボ冷凍機、蒸気吸収冷凍機、貫流ボイラなど。それにより、両街区全体でエネルギー需給の最適化を実現し、両街区全体のCO2排出量を1990年基準と比べて約45%削減することを目標としている。
また、停電などの非常時に、地域の防災拠点となる施設を有するI街区で必要な熱・電気が万が一不足した場合は、II街区のスマートエネルギーネットワークからI街区へ熱・電気の融通を可能とするバックアップ体制を構築する。また、II街区だけでなく、両街区全体のエネルギーセキュリティ向上を実現し、災害に強いまちづくりに貢献する。なお、II街区のスマートエネルギーネットワークにおける設備導入、運営は、東京ガスESが行う。
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