東京タワーのふもとに新たな“環境”スポット登場:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
太陽光発電で蓄電し、無料でスマートフォンを充電できるソーラー充電スタンド「シティチャージ」が、東京都内で稼働を開始した。太陽光によるクリーンなエネルギーを活用する充電スタンドは世界中で注目を集めているが、日本で稼働したのは初めてだという。
東京をスマートシティへ
設置に際し、東京都知事の舛添要一氏は主に2つの点で東京都にとって意味があると強調する。
1つ目が環境面でのシンボルとしての役割だ。「現在はベルリンやロンドン、パリ、ニューヨークなど世界的に環境先進都市を目指す競争が生まれている。その中で東京都は、水素社会の実現や省エネ化、再生可能エネルギーの使用比率を現在の6%から2024年に20%に引き上げるなど、日本政府よりも高い目標を持って取り組んでいる。シティチャージはこれらのスマートシティ実現への取り組みの象徴になり得る」と舛添氏は語る。
もう1つが観光面での「おもてなし」だという。「日本全体を見た時に2015年は約1900万人の外国人旅行者が訪れる見込みだとしており、これは2020年までに2千万人とした政府目標を前倒しで達成するペースだ。しかし、観光を日本の産業としていくことを考えれば日本への旅行者はまだまだ少ない。例えばマレーシアへの旅行者は年間2700万人となっており、日本を上回っている。その意味で眠っている環境資源を掘り起こせばもっと成長できる。その観光面での『おもてなし』を体現する意味でシティチャージには注目している」と舛添氏は述べている。
シティチャージの充電スタンドは、LightningコネクタやmicroUSB(タイプB)、ドッグコネクタ、フィーチャフォン用外部接続端子、USBなど、国内に流通するほぼ全ての携帯電話に対応した接続端子を用意(図3)。ピクトグラムによる分かりやすい表示も行い、「おもてなし」を体現する。
今回シティチャージの開発を行ったシャープでは「太陽電池、蓄電池、LED照明、携帯電話、スマートフォンなどを全て開発しているメーカーであることから参加することができた。創エネ、畜エネ、省エネへの貢献をさらに進めていく」(シャープ 代表取締役専務執行役員 長谷川祥典氏)としている。
ソーラー充電スタンドは、既に米国・ニューヨークやアラブ首長国連邦のドバイなどでは設置が広がっている。米国では、PENSA design studio、Goal Zero、NRGなどの協業によって運営されている「Street Charge」というソーラー充電スタンドが14カ所で展開。欧州や中南米にも提供を開始しており、徐々に利用範囲を広げている。また、ドバイなどにも別企業が設置された例などがあるという。
関連記事
- 日本初の無料ソーラー充電スタンド、太陽光から蓄電しスマホを充電
東京都、東京都環境公社は2015年7月21日、太陽光パネルで発電した電気を蓄電池に蓄電し、スマートフォンなどを手軽に充電できるソーラー充電スタンド「シティチャージ」を「日本で初めて」(東京都)設置すると発表した。 - シャープの「直流エアコン」2015年内発売へ、カギは蓄電池と室外機のDC接続
シャープは2015年7月29〜31日の3日間、東京ビッグサイトで開催されている太陽光発電関連の展示会「PVJapan2015」に出展し、直流給電を利用した「直流エアコン」を披露した。 - シャープの次世代太陽電池、NEDOプロジェクトで量産へ
NEDOは太陽光による発電コストを2030年までに7円/kWh(キロワット時)に下げるという目標に向け、複数のプロジェクトを推進している。このロードマップの実現に貢献するとして、シャープが実用化を進める高効率バックコンタクト型太陽電池の量産に向けた技術開発が新たにNEDOプロジェクトとして採択された。 - 窓に貼るだけで照明電力を4割削減、液晶技術を活用したシャープの「採光フィルム」
シャープは液晶ディスプレイ開発で培った光学制御技術を応用した「採光フィルム」を開発した。オフィスの窓の上部に設置することで、太陽光などの外光を効率的に天井方向に取り込める。室内照明を使わずに室内を明るくできるため、照明電力の削減につながるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.