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夏の電力需給に構造変化、太陽光発電が増えて「脱・電力会社」が加速電力供給サービス(2/2 ページ)

2015年の夏も電力の供給には大きな問題が発生しなかった。震災から4年が経過して電力不足の懸念がなくなってきたのは、需給面の構造変化が急速に進んだからだ。電力会社から新電力へ契約を変更する動きが活発になる一方で、各地域の太陽光発電が想定を上回る供給力を発揮している。

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太陽光がピーク時に1000万kWを供給

 震災前の2010年の夏と比較すると、最大需要の減少率は東京と関西が最大で17.4%になった(図3)。このうち節電による効果は東京で13.3%、関西で13.9%に達する。一方で電気料金を値上げしていない北陸と中国の節電効果は5%前後にとどまっている。値上げが節電を促進する状況が明確に見てとれる。


図3 2015年夏の需要減少と節電効果(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 こうして夏の電力需要が減り続ける一方で、太陽光発電による供給力が急速に拡大している。沖縄を除く9つの地域で最大需要を記録した時間帯の太陽光発電を合計すると1093万kWに達した(図4)。原子力発電所の10基分に相当する規模だ。


図4 2015年夏の太陽光発電による供給力(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 太陽光発電の供給力が最も大きかったのは東京の377万kWで、次いで中部の204万kW、九州の152万kWの順だ。特に九州では最大需要の1500万kWのうち10%強を太陽光発電が占めて、政府の委員会が想定した供給力の2倍以上にのぼった。東京や中部でも想定の2倍以上の電力を太陽光が供給している。

 それも当然で、委員会の想定値は過去の供給力をもとに予測する手法をとっているためだ。太陽光発電設備が拡大している現状に見合っていない。今後は各地域の太陽光発電設備の容量(最大出力)をもとに算出する方法を検討していく。2016年の夏の予測から算出方法を変更する可能性が大きい。

 ただし新たな課題もある。最大需要が発生する時間帯と太陽光発電が最大になる時間帯がずれることだ。2015年の夏は関西・四国・九州の3地域で16時台に需要が最大になったが、その時間帯には太陽光による発電量が最大の12時台と比べて3割以上も減少する。さらに九州では日没後の19時台に需要が減らずに予備率が急速に低下してしまう事態も発生した。

 次の2016年の夏には、全国各地で太陽光発電の供給力が大幅に増える。加えて小売全面自由化によって脱・電力会社の動きが家庭や商店にも広がっていく。需要と供給力の両面で従来と違う新しい予測手法が求められる。

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