拡大期待のバイオガス市場、発電機器メーカーは保守サービスで差をつける:蓄電・発電機器
下水汚泥や食品残渣から発生するバイオガスの発電への利用に注目が集まっている。高効率なバイオガス発電装置の新製品を発表したヤンマーエネルギーシステムは、24時間遠隔監視や販売後のメンテナンスなどを20年間にわたってサポートする。
ヤンマーエネルギーシステムはヤンマーが開発した低カロリー燃料仕様の6気筒ガスエンジンを搭載した300kW(キロワット)クラスのバイオガス発電装置の新製品「BP275G/BP325G」を2015年10月から販売している(図1)。開発はヤンマーグループで設計・製作を行い、山形県の最上川流域下水道(山形処理区)の「山形浄化センター」で実証試験を実施し、各性能を確認した。
発電容量は50Hz(ヘルツ):275kW、60Hz:325kWで、発電効率37%、総合効率76%(温水仕様、メタン濃度55%)という高効率を実現したのが特徴だ。ヤンマーエネルギーシステム本社にあるリモートサポートセンターで24時間遠隔監視やメンテナンスなどの販売後の保守サービスも提供する。固定価格買取制度(FIT)では、システムを20年間にわたって運用することになる。販売から生産、メンテナンスまで全てをヤンマーグループが一括サポートすることで、顧客の信頼感を高める狙いだ。
2012年7月から始まったFITと、2014年4月に資源エネルギー庁から2030年の電源構成比率における再生可能エネルギーの割合を22〜24%の目標が定められた。そこでバイオガス発電市場のさらなる拡大が期待されている。
こうした市場動向を受けヤンマーエネルギーシステムは、今後も納入実績が500台を超えた25kW機とともにバイオガス発電システムの技術開発と、製品ラインアップの拡充に取り組む。バイオガスとは下水汚泥や食品残渣などの有機性廃棄物が嫌気性微生物の働きによりメタン発酵することで発生するガス。同社では下水処理場、食品残渣などの幅広い顧客に同製品を導入することによるメリットを提案していく方針だ。
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