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水素時代を目前に撤退、木質バイオマスによる水素製造が4年で終わる:自然エネルギー(2/2 ページ)
九州を中心に石油製品を販売する新出光が福岡県で4年前に稼働させた水素製造プラントを閉鎖した。地域の間伐材など木質バイオマスからCO2フリーの水素ガスを製造する先進的なプロジェクトだったが、技術的な問題を解消できず、バイオマス水素の製造・販売事業から撤退する。
1日に7200立方メートルの水素
通常の水素ガスはLNG(液化天然ガス)から作るためにCO2(二酸化炭素)を排出するが、バイオマスを原料に使うブルータワー技術ではCO2排出量が75%も少なくなる。加えてアルミナボールをプラントの内部で循環させることにより、機器の閉塞トラブルなどの要因になる不純物のタールを除去できる利点がある。
ところが福岡ブルータワーではアルミナボールによるタール除去のプロセスを計画どおりに実施できなかった。そのために高純度の水素ガスを安定して製造することができず、事業化を断念する結果になった。すでに製造プラントは9月末に閉鎖していて、今後は解体する予定だ。事業会社のイデックスエコエナジーも解散する。
当初の計画では1日に15トンの木質チップを原料に7200立方メートルの水素ガスを製造する目標だった。トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」は水素1立方メートルで10キロメートル程度の走行が可能なことから、1日あたり7万2000キロメートル分の水素を供給できる能力に匹敵する。新出光は燃料電池車の普及を前に、バイオマスを使った水素製造・販売事業から撤退することになる。
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