エネルギー課題を抱える小さな島国で、EVと充電器の導入実証を開始:電気自動車
マーシャル諸島共和国はエネルギー調達をほぼ輸入に頼っている状況で、エネルギー供給の自前化や輸送費用を含めたコストの軽減が深刻な課題となっている。ホンダはこうしたエネルギー課題の解決を目的に、電気自動車と太陽光発電に対応したAC普通充電器の導入実証を開始する。
ホンダはマーシャル諸島共和国において共和国政府と共同で、電気自動車「フィットEV」と太陽光発電に対応したAC普通充電器「Honda Power Charger」を導入する社会実証実験を開始する。
マーシャル諸島共和国はその名の通り複数の島から構成されており、総面積は約181平方キロメートル、総人口は約5万3000人。他の多くの太平洋島しょ国と同様に、エネルギーをほぼ輸入に頼っている状況だ。発電方式の中心はディーゼル発電で、エネルギー調達の自前化や輸送費用を含めたコストの軽減が課題となっている。
過去には石油価格高騰を受けて国家緊急事態宣言が発令されたこともあり、政府はこうしたエネルギー供給体制の改革に向け、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの導入を推進している。日本政府もこうした発電設備の設置に関する技術/資金などの援助を進めている。
今回、同国政府とホンダが取り組む実験は、経済産業省の「平成27年度エネルギー需給緩和型インフラ・システム普及等促進事業支援」を受けて進めるもの。フィットEVと太陽光発電に対応するHonda Power Chargerの導入により、マーシャル諸島共和国における電動化モビリティの普及および充電関連インフラの整備の可能性を検証し、エネルギー自給などの課題解決につなげることが目的だ(図1)。
ホンダは今回のプロジェクトが、EV活用のグローバルなショーケースになることを目指し、マーシャル諸島共和国政府と協力して実証実験を進めていくとしている。
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