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“もうかる野菜”を省エネ生産、3原色のLEDを独立制御する植物工場:スマートアグリ(2/2 ページ)
キーストーンテクノロジーはエンジンバルブのメーカーの日鍛バルブが運営する植物工場に、LED植物栽培ユニット「AGRI Oh!(アグリ王)」を納入した。赤・青・緑の各LEDを独立制御できるのが特徴で、育成速度の促進や高機能野菜の生産が可能になるという。
3原色のLEDを独立制御、高機能野菜の栽培を可能に
今回、導入した水気耕栽培ユニット「AGRI Oh!」は、赤色・緑色・青色の各光源を独立制御できるLED光源を組み込んだのが特徴となる。光合成に必要な赤色、光形態形成や機能性成分の合成に必要な青色を植物の生育環境に合わせて選択的に照射することにより、収穫までの期間を短縮するとともに、ビタミン、カロテノイド、ポリフェノールなどの機能性成分を多く有する高機能野菜の栽培が可能となる。
現在多くの完全人工光型植物工場では主要な光源に蛍光灯を利用しているが、LEDは電気をエネルギーに変える変換効率が高く、放熱も少なく長寿命であることから、空調などを含めた設備全体のランニングコスト削減にも貢献する。今回の場合、蛍光灯型植物工場の約半分に消費電力を削減できるという。
同植物工場では環境省認定の「秦野名水」が流れるという恵まれた自然環境を前面に打ち立て、露地栽培よりも栄養成分を多く含む高機能野菜をキーストーンテクノロジーが展開する「横浜・馬車道ハイカラ野菜」などの「ハイカラ野菜」シリーズに加え「丹沢名水ハイカラ野菜」として販売していく計画だ(図2)。
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